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北京 日本製ネットは好調 

2013年02月04日

 12月初旬、北京から乗った名古屋行き旅客機の乗客はたったの10人。帰りはなんと6人だった。航空会社に同情するだけでなく、赤字覚悟で路線を維持してくれることに感謝したいぐらいだ。

 客室乗務員の話では、9月の尖閣諸島国有化で日中関係が悪化してから乗客が激減。日本からの出張者が減り、中国からの団体旅行がほとんどなくなったのが最大の要因だ。

 中国の店頭では乗用車をはじめ、あらゆる日本の商品が苦戦。関係悪化に付け込んだ欧米や韓国のライバル会社が「こんな時期に日本の製品は買うな」と客にささやくらしい。

 周りの目を気にして行動するのは日本人の専売特許かと思っていたが、中国人はそれ以上だ。国同士が険悪な中、「日本びいき」と思われるのを嫌がる。だから社員旅行の行き先を別の所に変えたり、日本ブランドの店に入るのを控えたりする自粛ムードが広がる。

 他人の目を気にせず買い物できるネットショップの売り上げは、衣服も日用品も好調。日本製品の信頼が決して落ちているわけではない。日本のビザ申請も実際はさほど減っておらず、個人で日本を旅行する需要はある。

 S社の化粧品を愛用する女性は「日本製の不買なんてあり得ない。あすから生きていけなくなるわ」。庶民の本音だ。 (渡部圭)