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中国・廊坊 不況対策で露店復活

2020年09月20日

 「私も友人と露店を出してアクセサリーでも売ろうと思うの」。友人の20代女性、中国語講師の段さんが笑顔で語った。

 中国では6月上旬、にわかに露店ブームが巻き起こった。李克強(りこくきょう)首相が不況対策、失業対策として「露店経済」を打ち出したためだ。近年、都市部では衛生問題や渋滞を理由に露店は排除されてきたが、一転して各地の地方政府が規制を緩めた。

 商売の経験はないが、「面白そう。露店なら本業が終わってから副業としてできるし」と段さん。日本の若者だったら、「仕事帰りに、ちょっと露店でも開こう」とは、なかなかならないだろう。ただ中国では段さんのように「ちょっと商売」と考える若者は少なくない。会員制交流サイト(SNS)を通じ、アルバイト感覚で化粧品などを売る人も多い。

 北京は首都だけに今も露店規制は厳しいが、隣接する河北省廊坊(ろうぼう)市では露店の街が出現。数千人が訪れ、にぎわう。従来の露店業者に加え、失業中の人や段さんのように副業として店を始めた人も多い。現場は売り込みや値段交渉の声が飛び交い、熱気の中に庶民のたくましさが垣間見えた。 (坪井千隼)