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上海 文句ない?コロナ封じ

2021年01月01日

 上海市内で、久々に新型コロナウイルスの感染者が確認された。その後の市政府の対応はすさまじかった。

 感染者の名字と年齢、職場や居住地の公開は当然。発症前の2週間に訪れたスーパーや百貨店の名前のほか、3カ月以内に医療機関での受診歴はないという情報も当局から発表された。

 26人の濃厚接触者を直ちに施設隔離。濃厚接触者の濃厚接触者や職場の同僚などに一斉にPCR検査を行い、2日後の会見で「約9000人の陰性が確認された」と発表があった。

 ネットでは「上海の一部が封鎖された」とのうわさが流れたものの、実際は感染者の住む町内だけが中リスク地域に指定され、その住民が市外に出ないよう要請されただけだった。

 私の住む地区からはだいぶ離れているのだが出張をする際にはPCR検査が不可欠になる。一部のホテルが上海市民の宿泊に陰性証明を求めたからだ。

 病院では早朝から屋外の仮設PCR検査場に行列ができていた。費用は約2000円。対策の徹底が経済回復を早めている面もあろうが、感染者が一人出ただけでこの騒ぎでは、かかるコストも少なくない。 (白山泉)