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英グラスゴー 水の恵みと誘惑の街

2022年01月05日

 水が違う。出張で英スコットランドのグラスゴーに来て最初にそう思ったのは、洗面所で顔を洗った時だ。ロンドンの硬水は石灰分が多く、肌や髪がかさかさになるが、こちらの軟水は文字どおり軟らかく、肌に合う。口にも含んでみたが、自宅の水道水より断然飲みやすい。

 そうだ、スコットランドは水の質が良いことからウイスキー産業が発展してきたのだった。さらにグラスゴー大学は日本のウイスキーの生みの親、「マッサン」こと竹鶴政孝が醸造法を学んだ場でもある。

 しかし、水に恵まれる一方で、この街は英国の中でもなぜか平均寿命が短い都市として知られる。理由は諸説あるが、特に戦後、市が社会の階層を分離するような住宅建設計画を進めたことでコミュニティーが破壊され、人々の心身を蝕(むしば)んだとする調査結果があると知った。

 独特の歴史背景をしみじみと思いつつ、仕事帰りにパブの前を通ると、人々が琥珀(こはく)色のグラスを手に談笑していた。短命の諸説の中には労働者の飲酒文化もあったが、水の恵みを享受しないのももったいない。誘惑との闘いを強いられる危険な街だと認識した。 (加藤美喜)

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