2022年06月10日

　先日、ロンドンで日本のお酒の普及に取り組む知人に誘われ、焼酎のイベントに参加した。大英博物館の近くにある焼酎バーが会場で、店内は造花の桜が満開。大使館関係者や県人会、知日家の人々らが集い、豊かな焼酎の魅力話に花が咲いた。

　米、麦、芋、ごまの各焼酎に泡盛を加えた５種類が登場。ストレートやロック、水割り、お湯割りで異なる味わいを確認し、５種類にそれぞれ合う食事として、刺し身、すし、天ぷら、白身魚の西京焼き、ラムチョップが紹介された。焼酎と洋酒のカクテルも登場し、意外な相性の良さと可能性に驚かされた。

　英国人の飲み方は、パブで何も食べずに立ってひたすらビールを飲むスタイルが今も一般的だ。しかし、イベントに参加したベテランのバーテンダー氏によると、この２０年でロンドンも多国籍料理店がかなり増え、お酒と料理の組み合わせを楽しむ英国人も増えてきたという。

　和食だけでなく日本のお酒がこの街に浸透し、いつかパブにも焼酎が置かれる日を夢想した。造花の桜に日本を思いながら周囲を見回すと、皆のほおもすっかり桜色になって、笑顔の花が広がっていた。　（加藤美喜）