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ワシントン 肥満の陰に貧富格差

2022年09月21日

 英国旅行から帰ってきた米国人の知人が、昼食でサラダだけを食べていた。ロンドンのパブでビールを飲み過ぎたらしい。「体重を落とすのは大変」などと話しながら、最後に思い出したように付け加えた。「今日は仲間内だから話したけど、アメリカではあまり体重の話はしない方がいいよ」

 渡米後、おいしいハンバーガーやピザを食べる回数が増え、体が重くなっているのを日々感じている。こんな食生活を続けていたら太るよなあと思っていたが、知人によると肥満の問題はそれだけではないらしい。

 健康に気を使った食事をするには、何よりお金がかかる。水は清涼飲料より高く、野菜や魚、鶏のささ身も日本より高価だ。安価に食事を済ませようとすれば、高カロリーのジャンクフードに頼るしかない。誰もが好きこのんで加工食品や甘いジュースでおなかを膨らませているわけではないのだという。

 米国では貧困層の方が肥満率が高く、糖尿病などの基礎疾患に苦しむ人も多い。貧富の格差が食生活にも影響を考えていると思うと、軽々しくダイエットの話ができないのもうなずける。 (浅井俊典)