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北京 コロナはもう歴史?

2023年02月04日

 北京のオリンピック公園にある中国共産党歴史展覧館を参観した。参観希望日の3日前までに予約するシステムで無料だ。建党100年を記念して昨年7月に開館したばかりで、建築面積は14万7000平方メートル。日本ではほとんど見ることがない建物の巨大さに、まず圧倒された。

 展示はこの手の施設では共通するが、中国共産党が抗日戦争や中国国民党との内戦を勝ち抜き、中国を欧米列強の半植民地から解放した「救世主」であることをアピール。ただ堅い内容ばかりでもなく、子どもに関心を持ってもらおうと昔の拳銃を立体映像で再現したほか、高速鉄道の運転室の模型もあった。

 後半は貧困対策や環境保護など習近平(しゅうきんぺい)総書記が力を入れる施策や業績の紹介が延々と続いて食傷気味に。新型コロナウイルス対策も取り上げられており、国産ワクチンの開発やそれを各国に提供する「ワクチン外交」を紹介していた。

 この展示を見た若い男性は「もうコロナが歴史になったんだ」と苦笑。行動制限の厳しいゼロコロナ政策はまだ続きそうだが、早くも成果としてアピールする神経は疑わざるをえない。 (新貝憲弘)