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ロシア・レニンスク=クズネツキー 石炭が空気を汚す街

2023年02月14日

 ロシア・シベリア地方のレニンスク=クズネツキーを石炭産業の取材で訪れた。

 一帯の「クズバス炭田」は世界有数の規模を誇り、日本の火力発電所にも輸出される。この街のエネルギー源も石炭。あちこちからモクモクと灰色の煙が上がっていく。

 「この周辺でも天然ガスに燃料を転換する計画はあります。少し先になりそうですが」と、石炭会社広報のクセニアさんは教えてくれた。

 ロシアは世界最大の天然ガス輸出国の1つ。だがシベリアを中心にガスが通じていない街も多い。レニンスクで痛感したのは空気の汚れだ。煙突の風下にいれば、強いにおいが鼻を突く。洗濯物も汚れる。水たまりの色もくすむ。

 石炭は二酸化炭素(CO2)の排出量が多い「温暖化の元凶」とみなされる。最新技術を使った日本の火力発電所では、硫黄分や窒素酸化物の排出は抑えられるようになり、石炭のイメージは変わってきた。

 だがロシアでは旧式の燃焼設備を使い続け、住民が健康を損ねる現実がある。レニンスクに完全な青空が現れる日はいつ来るのやら。 (小柳悠志)