【本文】

  1. トップ
  2. コラム
  3. 世界の街
  4. アメリカ・カナダ
  5. 米ベンチュラ 社食から社風見えた

米ベンチュラ 社食から社風見えた

2023年05月19日

 「インタビューも終わったし、お昼ご飯を食べよう」。米アウトドア用品大手パタゴニアの創業者、イボン・シュイナードさん(84)を米西部カリフォルニア州ベンチュラの本社で取材した後、彼から食事に誘われた。会社の1階に社員用のカフェテリアがあるという。

 こぢんまりとしたカフェテリアはバイキング形式で、メニューはサラダとマカロニチーズ。野菜はすべて地元産で、環境保護に熱心なパタゴニアらしく地産地消を徹底する。

 皿を持って外に移動すると、近くのベンチで若い社員の夫婦が1歳ぐらいの女の子と食事をしていた。社内に託児所があり、お昼は家族みんなで食べられるらしい。社員は子どもの年齢に合わせ、年長用の託児所がある社屋に異動するそうだ。こうした配慮もあってか、総じて勤続年数は長く、1人の採用に数100人以上の応募があるという。

 食事を終えると、シュイナードさんを見つけた社員であっというまに人だかりができた。営利企業なのでさまざまな側面があるとは思うが、理想を追い続け、社員と和やかに話すシュイナードさんはとても楽しそうに見えた。 (浅井俊典)