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【愛知】しぐさに癒やされる ペンギンに会いに行く 愛知県

ジャンル・エリア : 愛知 | 水族館 | 生き物  2019年09月19日

オウサマペンギン(右端)の脇で、来場者とたわむれるジェンツーペンギンたち=愛知県豊橋市ののんほいパークで

オウサマペンギン(右端)の脇で、来場者とたわむれるジェンツーペンギンたち=愛知県豊橋市ののんほいパークで

 あのころの僕はひどく疲れていたんだと思う。気分転換が必要だった。それもとびきりの。だから独りでペンギンを見に行ったんじゃないかな。あまりよくは覚えていないけれど。

 5年ぶりののんほいパーク(豊橋総合動植物公園、愛知県豊橋市)は雨だった。傘を差してペンギンのいる極地動物館に向かう。屋内の水槽の前では、2組の家族連れがオウサマ、イワトビ、ジェンツーの各ペンギンを眺めていた。よく動くのはジェンツーペンギンだ。人が仕切りのガラスに近づくと、ヨチヨチ歩きで近づいてくる。そこで人が手を動かすと、手の方を向いてくちばしをパクパクさせる。そうした反応が楽しいようで、多くの人が入れ代わり立ち代わりジェンツーと遊んでいた。

 飼育員の榎本諒太さん(33)は「ジェンツーは反応がいいんです。繁殖もうまくいって、今年6月には9羽増えました」と教えてくれた。成長は早く、200グラムのひなが、2カ月で大人に近い4キロほどになるという。

 ジェンツーは楽しそうだ。水の中をスイスイ泳ぎ、人が来ると寄っていって“あっち向いてほい”でたわむれる。飽きるとどこかに行く。自由だ。そうだ、当時の僕はこんな彼らのしぐさに癒やされたんだった。

家族連れでにぎわう「ペンギン情報コーナー」=名古屋市港区の名古屋港水族館で

家族連れでにぎわう「ペンギン情報コーナー」=名古屋市港区の名古屋港水族館で

 コウテイペンギンがいる名古屋市港区の名古屋港水族館にも行ってみた。首回りの黄色が美しく、そして世界一大きいペンギンだ。飼育員の東山崎のぞみさん(36)は「関東で飼育しているところはないので、わざわざ見に来る人もいる」という。アデリー、ヒゲなども珍しいペンギンだ。数十人のカップルや子どもたちでにぎわっていた。

 名港水族館は大きいので、20羽を超すペンギンが一度に速く泳ぐ姿が見られるほか、「ペンギン情報コーナー」では生態や種類などがよく分かる。のんほいパークはガラスの近くに地面があるので、寄ってきたジェンツーペンギンと遊ぶことができる。好きずきだろう。

 のんほいパークを出る際、壁に張られていたポスターに気付いた。2頭のライオンが寄り添う写真に「だめになりそうなときは きっと ここにおいでよ」との文言が書かれている。豊橋市が今年、自殺予防のために作製した。動物と触れ合って心を癒やす「アニマルセラピー」という考えも、最近は広まりつつある。自分の経験に照らしてみれば、効果がある気がする。ペンギンでなくてものんほいパークでなくてもいい。少し疲れたなと思ったときは、近くの施設に好きな動物を見に行けば、きっと心が楽になると思う。 (金森篤史)

 ▼ガイド のんほいパークへはJR東海道線・二川駅から徒歩6分。入園料は600円(小中学生は100円)。午前9時~午後4時半(8、9月は開閉園とも1時間早まる)。月曜休園。(電)0532(41)2185。名古屋港水族館へは名古屋市営地下鉄名港線・名古屋港駅から徒歩5分。料金は2000円(小中学生は1000円)。午前9時半~午後5時半、月曜休館。ただし、夏期などは営業時間延長、無休。(電)052(654)7080

(中日新聞夕刊 2019年9月19日掲載)