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【石川】アイヌと北陸 つないだ海 祭具 実は輪島塗

ジャンル・エリア : 展示 | 文化 | 石川  2022年10月05日

アイヌ民族が使うもり(アイヌ語でキテ)。奥には海獣の剥製が並ぶ=金沢市出羽町の県立歴史博物館で

アイヌ民族が使うもり(アイヌ語でキテ)。奥には海獣の剥製が並ぶ=金沢市出羽町の県立歴史博物館で

歴博で交流伝える企画展 

アイヌ民族と海のつながりを知ってもらおうと、金沢市出羽町の県立歴史博物館で企画展「アトゥイ−海と奏でるアイヌ文化」が開かれている。アイヌ民族が日常生活で使用していた道具や、海獣の剥製、北陸とのつながりが分かる江戸時代後期からの資料など約140点が並ぶ。県内でこれほど大規模なアイヌに関する展示は珍しいという。(岩本雅子)

 「アトゥイ」はアイヌ語で「海」を指す。企画展はアイヌ民族文化財団(札幌市)が1997年から毎年テーマを決めて北海道内と、他の46都府県の計2カ所で開催している。

 石川、富山、福井、新潟の4県はアイヌ民族と海での交易が盛んだった歴史があり、主題を「海」とした。

 展示は4つのテーマに分かれる。最初の「海に生きる」では、船の模型やもり(アイヌ語でキテ)などから海のなりわいを知ることができる。大きなトドやラッコ、アザラシなどの剥製コーナーは動物園感覚で撮影を楽しめる。

アイヌ民族が使うもり(アイヌ語でキテ)。奥には海獣の剥製が並ぶ=金沢市出羽町の県立歴史博物館で

アイヌ民族が使うもり(アイヌ語でキテ)。奥には海獣の剥製が並ぶ=金沢市出羽町の県立歴史博物館で

 最後の「海でつながる」では、アイヌと北陸の交易を示す着物や食器などが並ぶ。近年の科学分析で輪島塗と特定されたアイヌの祭具「杯・天目台」や、神に祈りをささげる際に使う木製の祭具「イナウ」が使われた輪島市など県内の神社に残る奉納額などがある。

 学芸員の大井理恵さん(44)は「文化を理解し合った歴史があり、アイヌが遠い存在ではないことを感じてほしい」と来場を呼びかけている。

 11月13日まで。開館は午前9時〜午後5時。一般1000円、大学生800円、高校生以下は無料。10月19日は休み。