【本文】

  1. トップ
  2. お出かけニュース
  3. 【石川】ドイツパンの感動 能美へ 脱サラ、独で3年間修業

【石川】ドイツパンの感動 能美へ 脱サラ、独で3年間修業

ジャンル・エリア : グルメ | 石川  2019年12月06日

焼きたてのドイツパンを並べる小坂藍さん=能美市松が岡で

焼きたてのドイツパンを並べる小坂藍さん=能美市松が岡で

小麦は有機栽培 小坂さん あす開店

 能美市松が岡の小坂藍(あい)さん(30)が7日、ドイツパンの店「ブロートルーフ ビオベッカライ」を地元にオープンする。小麦は環境に配慮したオーガニック(有機栽培)を扱う。ドイツでの3年間の修業を終え、念願の開店。「パンのおいしさだけでなく、環境を大切にする意識も広めたい」と張り切っている。(小坂亮太)

 小坂さんのパンは、小麦の原種「スペルト小麦」やライ麦などの粉に水や塩、イースト菌や天然酵母を加えるだけ。砂糖やバターは使わない。「小麦そのものの味がして、においをかぐだけで幸せな気分です。『どやっ』って、自慢するわけじゃないけど」と笑う。

 豊かな緑に囲まれた松が岡で育ち、自然保護に興味を持った。環境先進国の欧州に憧れ、進学した金沢大国際学類でヨーロッパコースを選択。4年生の時、ドイツに留学した。

 1年間、食事は朝も夜もパンが中心だった。アボカドやバター、ジャムを塗って食べた。「ご飯にふりかけをかける感覚で。毎日食べても飽きなかった」

 大学卒業後、3年間はメーカーの営業職で働いた。やりがいはあったがパソコンに向かう時間も長く、無機質なオフィスでの勤務は「一生はできない」と感じた。「能美で自然を感じながら働きたい」。何をしようか考えた時、ドイツのパンの感動が頭に浮かんだ。

 再びドイツへ。職業学校に通いつつ有機農法の農場内にある工房で働き、オーガニック素材を使うパン作りを学んだ。パン職人の国家資格(ドイツ)を取得し、昨年帰郷。アルバイトで資金を稼ぎ、不足分は借金をして店を建てた。

 商品はドイツパンの定番「プレッツェル」やスペルト小麦の全粒粉パンなど7種類(税込み250~1500円)。今月は能美産の「国造ゆず」の皮を使ったシュトレン(同3500円)も販売する。「不安もあるけど、ドイツで教えてくれた人たちにもうなずいてもらえるような仕事をしたい」と話す。

 営業時間は午前9時~午後2時、午後4~6時。木曜と第3水曜は定休。店は松が岡5の29で弥生会館の向かい。