ジャンル・エリア : 富山 | 展示 | 文化 2021年11月09日
出身地の砺波 調査記録や著作展示
県民俗研究の第一人者、砺波市出身の佐伯安一(さえきやすかず)さん(1930~2016年)の調査記録や著作などを集めた企画展「佐伯安一の軌跡」が、砺波郷土資料館で開かれている。日本民俗学の祖、柳田国男(1875~1962年)から佐伯さん宛てに送られた著作を絶賛するはがきを初公開した。23日まで。
佐伯さんは学生時代、城端線での通学中に聞こえてきた生徒たちの方言の違いに関心を持ち、方言研究を開始。新聞社や商工会議所などに勤めながら砺波地方の方言を集め、1961(昭和36)年に「砺波民俗語彙(ごい)」を出版。その後、研究分野を散村や獅子舞、料理まで広げ、県内の自治体史編さんにも携わった。
柳田からのはがきは61年4月7日付。砺波民俗語彙を贈った際の返礼で「私が数週費やしても得られない知識であり、先祖の困苦をつまびらかにする最も尊い事業」と称賛している。
ほかに、佐伯さんが13~35歳に方言を記録していたメモ帳、県の民俗緊急調査で砺波市紺屋島を調べた際の記録、獅子舞が行われている県内分布図など、資料館が所蔵する450点を展示。東出紘明学芸員(28)は「言葉や料理、獅子舞が消えていくことに危機感を抱き、継承したいと研究を重ねてきた佐伯さんの思いを知ってほしい」と話した。
月曜と第3日曜休館。(問)砺波郷土資料館0763(32)2339
(広田和也)