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【石川】初代 諏訪蘇山 青磁の美 鮮烈 県九谷焼美術館で没後100年記念展

ジャンル・エリア : オブジェ | 展示 | 石川 | 芸術  2022年09月06日

初代 諏訪蘇山

初代 諏訪蘇山

大聖寺で制作の彫像も 伝来の釉薬帳は県内初公開

 旧加賀藩士で、青磁の名工で知られる初代 諏訪蘇山(すわそざん)の没後100年を記念する企画展「初代諏訪蘇山」が、加賀市の県九谷焼美術館で開かれている。諏訪家の所蔵品をはじめ、市内の個人宅に伝わる作品など105点を前期、後期に分けて展示。初代蘇山の展覧会として過去最大規模で、京都の諏訪家に伝来する九谷焼の釉薬(ゆうやく)帳は県内で初公開となる。(小室亜希子)

 初代蘇山は「蘇山青磁」といわれるほど、青磁の独自性と完成度の高さで知られる。企画展では青磁の大作のほか、大聖寺に滞在した1880(明治13)年から3年4カ月の間に制作した彫像も紹介。鬼やガマ仙人、一つ目小僧などを一見グロテスクに表現した作品もあり、他の時代の作風と比べて異彩を放つ。

 焼き物のほか、「余技」として手がけた漆器や竹製品、鉄瓶も並び、多芸多才ぶりを示す。諏訪家伝来の九谷焼の釉薬帳は、蘇山の師匠で義父に当たる人物らが天保年間(1830~44年)に記した。「九谷法 青薬」などの記載とともに釉薬の配合割合が詳細に記され、極めて珍しい史料という。

 このほか、初代蘇山の印鑑20点余りも初公開する。「戌午夏日魯山人作」の銘が入った北大路魯山人作の印鑑もあり、両者のつながりがうかがえる。

 中越康介学芸員は「釉薬だけでなく素地の胎土も研究し、当時誰もできなかった中国最高レベルの青磁を再現できた人物。没後100年の節目に蘇山芸術の粋を見てほしい」と話す。

大聖寺時代に制作した「大津絵鬼置物」(手前)などが並ぶ初代諏訪蘇山展=加賀市大聖寺地方町の県九谷焼美術館で

大聖寺時代に制作した「大津絵鬼置物」(手前)などが並ぶ初代諏訪蘇山展=加賀市大聖寺地方町の県九谷焼美術館で

 前期展は25日まで、後期展は27日~10月23日。午前9時~午後5時(入館は午後4時半まで)。月曜休館(祝日の場合は開館)。17日に四代蘇山と武腰潤・県九谷焼美術館長の対談、10月15日に佐藤一信・愛知県陶磁美術館長の講演がある。参加無料、予約制。(問)0761(72)7466