ジャンル・エリア : 富山 | 展示 | 工芸品 | 歴史 2023年01月24日
射水市新湊博物館は江戸−明治時代に小杉新町(旧小杉町)で80年間続いた「小杉焼」の造形美と釉薬の美しさを紹介する企画展「小杉焼に魅(み)せられて」を開いている。2月12日まで。 (武田寛史)
同市在住の個人コレクターが2021年、小杉焼の作品を散逸させないために収集した約100点を博物館に寄託。今回は寄託品と博物館の所蔵品など約75点を展示している。
小杉焼が始まったのは200年以上前の1816(文化13)年ごろとされ、相馬焼(福島県)の陶技を習得した高畑与右衛門(よえもん)が創始。2代、3代の与右衛門、4代陶山(からつやま)三十郎が受け継ぎ、明治30年代まで続いた。釉薬の美しさから「小杉青磁」とも呼ばれ、水面を泳ぐ鴨(かも)の姿を表現した鴨徳利(かもとっくり)がよく知られている。
展示では、釉薬をかけない素地の部分に飴釉などで絵付けする「窓貫(まどぬき)」という技法を用いた瓢(ひさご)徳利9点が並ぶ。窓貫に松を表現した瓢徳利は新年らしい趣を感じさせる。
小杉焼の中でも珍しい「白釉(はくゆう)御神酒徳利」は初代与右衛門の作で、白釉と口縁部の緑釉とのコントラストに気品が漂う。酒2升が入る巨大な「緑釉飴釉大鴨徳利(おおかもとっくり)」のほか灯火具、香炉、片口などもある。
博物館の稲垣尚美学芸係長は「モダンな造形、緑色が美しい緑釉やしっとりとした色合いの飴釉など小杉焼の技術を見てほしい」と話している。開館は午前9時~午後5時(入館は午後4時半まで)、火曜休館。観覧料は一般310円、65歳以上または障がいのある人は150円、中学生以下は無料。