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【愛知】城と茶室 二国宝を満喫 城下町散歩 愛知県犬山市

ジャンル・エリア : グルメ | | 愛知 | 歴史  2023年03月23日

青空に浮かび上がる犬山城

青空に浮かび上がる犬山城

 お祭りの好きな皆さま方に朗報です。江戸時代から続く愛知県犬山市の「犬山祭」が4月1日と2日、4年ぶりに完全なかたちで開かれます。壮麗な車山(やま)の数々が勢ぞろいして「からくり」を披露する由緒あるご祭礼なのですが、コロナ禍のため2019年を最後に、神事だけにしたり、車山の運行を縮小したりして開かれていたのですね。

 それなら、というわけで、一足お先に犬山のまち歩きを楽しんできました。

 犬山といえば何といってもまずは犬山城です。江戸時代、尾張藩の付家老を務めた成瀬家が代々の居城としており、明治時代に入ると一度は廃城とされましたが、明治時代の半ばに愛知県から成瀬家が譲り受け、全国でも珍しい「個人所有のお城」となった歴史があります。

 「公益財団法人犬山城白帝文庫」の所有となった今も、木曽川を見下ろす小高い山の上で、青空を背景にそびえる雄姿に変わりはありません。

「そばの平甚」独特のおそばの盛り付け

「そばの平甚」独特のおそばの盛り付け

 そこから東へ直線距離ならわずか300メートルほど、日本庭園「有楽苑(うらくえん)」内には、犬山城と同じく国宝に指定されている茶室の「如庵(じょあん)」があります。京都府の「待庵(たいあん)」「密庵(みったん)」と並んで「国宝茶室三名席」の一つなのですが、今回訪れて驚いたのは、すぐそばにまで一般のお宅が建っていることでした。お城と茶室、2つの国宝が「借景」だとは、実にうらやましいかぎりです。

 城下町を散歩していると、「そばの平甚(ひらじん)犬山店」という看板を見つけました。ああ、岐阜の郡上八幡にある人気のお店の支店ですね。今日のお昼は、ここにしましょう。

 人気の「自然薯(じねんじょ)せいろ」をお願いすると、粘りが強くて味も濃い自然薯のすり下ろしとともに、端が散らばらないように丁寧に盛り付けられたおそばが来ました。

 「ちょっと余計な一手間をかけているんです」と店長の高垣仁さん。そうでしょう、ケーキのモンブランみたいでよそのお店ではあまり見ない盛り付け方です。ありがとうございます。おいしいです。

大正堂兼松書店で買った本の数々。良い本がいっぱいです=いずれも愛知県犬山市で

大正堂兼松書店で買った本の数々。良い本がいっぱいです=いずれも愛知県犬山市で

 さて「平甚」のお隣には、「大正堂 兼松書店」という本屋さんがあります。店内はこぢんまりとしていますが、吉川弘文館や山川出版社など歴史系の老舗の版元の優れた本がいっぱい。政治や社会の硬派な本も並んでいます。

 雑誌やマンガもありますが「私の趣味でこんな本ばかり並べてしまって」とは店長の林鎌次さん。まちから小さな書店が消えていく今、ここを訪ねるためだけでも犬山まで行きたい、そんな気にさせてくれる本屋さんです。楽しく迷った末に4冊買いました。読者の皆さまも、祭り見物の折には、どうかお運びください。 (三品信)

▼ガイド 犬山城の入場料は一般550円、小中学生110円。年末は休業です。管理事務所(電)0568(61)1711。有楽苑の入苑料は大人1200円、子ども600円。年末年始と、原則水曜が休苑です(メンテナンスなどによる休苑もあり)。(電)0568(61)4608。「そばの平甚犬山店」の「自然薯せいろ」は1430円で、一緒にお願いした岐阜の地酒「母情」(写真に少し写っていますね)は550円でした。(電)0568(54)5566。「大正堂 兼松書店」は日曜定休とのことです。(電)0568(61)1978。

(中日新聞夕刊 2023年3月23日掲載)