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【三重】一御田神社所有の室町時代能面など公開 津・一身田寺内町の館で文化財展

ジャンル・エリア : 三重 | 展示 | 工芸品 | 文化 | 歴史  2023年05月10日

室町時代の能面など一御田神社が所蔵する文化財が並ぶ会場=津市一身田町の一身田寺内町の館で

室町時代の能面など一御田神社が所蔵する文化財が並ぶ会場=津市一身田町の一身田寺内町の館で

 津市一身田町にある一御田(いちみた)神社が所有する市指定有形文化財を、近隣の「一身田寺内町の館」が一般公開している。神社の外で展示されるのは初めて。館長の小林伸生さん(75)は「地元に宝があるのに知らない人も多い。一般の財産であるので、ぜひ見に来てほしい」と思いを込める。(塩生衣菜)

 全文化財27点のうち、主要な10点ほどを前期と後期に分けて紹介。9日から始まった後期では、神社の「お田植祭」の際に使われていた室町時代の木製の能面や、現在も歌い継がれる田植え歌の歌詞を記した木板、神社や一身田町の成り立ちなどを記す明治時代の扁額(へんがく)、棟札の5点が並ぶ。

 一御田神社の脇田匡(ただす)宮司(58)によると、室町時代の能面は口の部分が別で作られたものが多いが、展示されている能面は口が顔と一体で作られており、珍しいという。

 脇田宮司は展示品に関して「近隣の高田本山が関東から市内に移ってきた経緯をひもとく重要な資料でもある」と説明する。

 神社には、田植えの神事の際に使われる道具が複数残っていることや、木板の田植え歌の歌詞には、一身田町を通り伊勢神宮へお参りに向かう道中の景色が書かれていることを指摘。「遠方から宗教の施設を移すには、平野で奉納する米がよく取れることや、伊勢神宮との関係があったことなど、よほど良い場所でないとできないことなのでは」と推測する。

 神社では年に1度の地元の祭り行事の際に文化財を一般向けに公開する程度で、普段は見られない。館側は展示を企画するに当たり、監視カメラを設置するなど防犯面にも配慮した。

 公開は21日までで、入場無料。観覧時間は午前9時半~午後4時。月曜休館。