【本文】

  1. トップ
  2. お出かけニュース
  3. 【滋賀】寺に3年前現れた黒猫2匹は仏の生まれ変わり? 滋賀の西明寺、伝承そのままに

【滋賀】寺に3年前現れた黒猫2匹は仏の生まれ変わり? 滋賀の西明寺、伝承そのままに

ジャンル・エリア : 動物 | 生き物 | 神社・仏閣 | 近畿  2023年11月30日

寄進された「なで猫」の像と中野住職=甲良町池寺で

寄進された「なで猫」の像と中野住職=甲良町池寺で

 湖東三山の一つ、西明寺(甲良町池寺)に3年ほど前、2匹の黒猫が突然現れた。寺には古くから黒猫にまつわる伝承があり、「守護仏の生まれ変わりではないか」と話題になった。2匹はすっかり大きくなり、今も参拝者に癒やしを与えている。中野英勝住職(65)は「猫たちから御利益をもらって帰ってほしい」と話している。

 小さな花をつけた不断桜が咲き誇る寺の庭に、かわいらしい2匹の黒い猫がいた。石の上で寝る様子や、屋根の上を渡り歩く姿が見られる。くっついたり、離れたりしながら、気ままに動き回っていた。

 「玄(くろ)」「空(くう)」と名づけられた2匹はどちらも雌で、推定3歳。2020年7月、まだ赤ちゃんの時に寺に捨てられていた。見かねた中野住職が保護し、餌を与えて育て始めた。

 最初は人を怖がり、陰に隠れてばかり。それが1日に2回ほど餌やりをして遊んでいると、10日もしないうちになじんでくれた。それでも、今も普段は人見知りだという。

 「くろー、くうー、お散歩行くよ」。庭で中野住職らが声をかけると、2匹はどこからともなく姿を見せる。「今では、家族の一員みたいなものです」と目を細める。

 西明寺と黒猫の関わりは深く、江戸時代にさかのぼる。伝承によると、1673~81年、京都・山科にある毘沙門堂の大僧正が、西明寺の門前で見かけた2匹の黒猫を追ってみたところ、荒れ果てた本堂にたどり着いた。荒れた現状に驚いた大僧正は、地頭に寺の全面復興を命じ、それが現在に至るなどとされる。

 こうした言い伝えを受けて、黒猫は西明寺の仏の使いとされてきた。「玄」には金運を呼ぶ青い首輪、「空」には福を呼ぶ赤い首輪を着け、大切にしている。

 2匹はほぼ毎日、寺の庭などに現れる。中野住職は「参拝者の心を癒やしてくれる存在。幸運を呼んできてくれたら」と語った。

 (鈴木美帆)

福と金運呼ぶ「なで猫」 2匹モデルの木像も

 西明寺と関わりの深い伝承「黒猫縁起」にちなみ、猫の木像「なで猫」2体が寺に設置された。約3年前から暮らす2匹の黒猫がモデルになった。

 くすの木で作られた像はいずれも縦53センチ、横28センチで、福と金運をそれぞれ呼ぶとされる。がんを患って寺を訪れた参拝者の男性が、がんが治まったお礼として「自分だけでなく、他の人にも福を分けると返ってくる」と寄進した。

 中野英勝住職は「像をなでてもらうとだんだん黒くなり、黒猫に変わる。福を呼んでほしい」と話した。寄進を記念して、寺では猫のイラストが入った御朱印も販売している。