ジャンル・エリア : グルメ | 三重 | 特産 2024年01月30日
穏やかな海と山に囲まれた南伊勢町五ケ所浦に、まぐろ丼を提供する「伊勢志摩まぐろ食堂」があります。2021年に開業し、22年12月、リゾート旅館を営む幸洋荘(現季さらホテル&リゾーツ、本社・鳥羽市)が別の会社から引き継いで再開しました。五ケ所浦の食の拠点として育ちつつあります。
「まぐろ」の3文字を強調した赤丸の看板が映える食堂の建物は、かつて米の倉庫として使われていた木造平屋建てを活用した。のれんをくぐり中に入ると、古民家風の内装に心が和む。看板メニューの「特選本まぐろざんまい御膳」は、大トロ、中トロ、赤身をのせた丼と小鉢、アオサのみそ汁などが付いて税込み2560円。脂ののったマグロの豊かな味わいで、多くの客を魅了している。マグロとご飯を別にした提供も可能だという。
食堂で出すマグロは、南伊勢町奈屋浦の清洋水産が養殖する「なだまぐろ」を使う。「天然のいけす」とも呼ばれる奈屋浦沖で育つクロマグロで、同社の船団が漁獲した新鮮なサバやイワシ類を与えられて育つ。「なだまぐろ」は「伊勢まぐろ」「みえまぐろ」とともに、町の「南伊勢ブランド」として登録されている。
まぐろ食堂は、町が出資した地域商社「みなみいせ商会」によって21年11月に開業したが、商会の破産手続きなどを背景に22年夏から一時休業していた。一方、新規事業に積極的な幸洋荘は食堂の将来性に期待し、事業承継を決定。同年12月に食堂を再開させ、昨年6月からは厨房(ちゅうぼう)機器販売などを手がける子会社のLoT(鳥羽市)が運営している。
幸洋荘の新規事業開発を担当し、現在はLoTの専務を務める岡田健吾さん(50)は「大きなビジネスに発展させ、なだまぐろをもっと広めたい」との思いで奔走したという。
現在の従業員は5人。旧体制の食堂で働いていた従業員も含め、元気よく店を切り盛りする。店長の鈴木千賀子さん(43)は「南伊勢の養殖マグロのおいしさを伝えたい。地元の人にも、観光客にも多く来てほしい」と願う。
食堂ではほかにも「本まぐろあぶり皿」「本日のまぐろステーキ」「まぐろのカマ煮込み」など、さまざまな料理を楽しめる。平日は午前11時に開店し、午後1時半にラストオーダー。土日祝日は午前11時に開店し、午後2時半にラストオーダーとなる。マグロがなくなり次第、閉店する場合がある。定休日は毎週水、木曜日。写真共有アプリ「インスタグラム」にまぐろ食堂公式のアカウントがあり、最新情報を確認できる。(問)伊勢志摩まぐろ食堂=0599(77)4401
(阿部竹虎)