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【三重】日本・ロシアの黎明期、ウクライナ侵攻の今見つめ直す 大黒屋光太夫記念館で特別展

ジャンル・エリア : 三重 | 展示 | 歴史  2024年02月16日

日ロ関係の黎明期を見つめ直す特別展の展示品=鈴鹿市若松中の大黒屋光太夫記念館で

日ロ関係の黎明期を見つめ直す特別展の展示品=鈴鹿市若松中の大黒屋光太夫記念館で

 日ロ関係の黎明(れいめい)期を見つめ直す特別展「日本とロシアと光太夫 近くて遠いおとなりさん」が、鈴鹿市若松中の大黒屋光太夫記念館で開かれている。3月17日まで。担当者は「(ロシアのウクライナ侵攻が続く)今だからこそ、歴史をひもとく機会にしてほしい」と話している。

 大黒屋光太夫は、江戸時代の船頭(船長)で、約10年間のロシア漂流を経て異国文化を日本に伝えた人物として知られる。

 1782年に伊勢国白子(現鈴鹿市)から江戸に向かう途中で遭難。ロシア領のアリューシャン列島まで漂流した。その後、ロシア語を覚え、サンクトペテルブルクでロシア皇帝と面会して92年に帰国。光太夫が見聞きした内容を聞き取ることで、ロシア研究が進んだ。

 光太夫が漂流した時期は、ロシアが千島列島(クリール諸島)を南下し、択捉島に到達した時期のやや後。日本国内では、対ロ脅威論の高まりで対抗策が議論されるとともに、蝦夷地経営の重要性が認識されて本格的な地理調査が始まった。特別展では、そうした文献や地図などを中心に紹介。国内での議論がどのように進んだのかが示されている。

 ロシアから戻ってきた光太夫の証言は、当時極めて珍しかった。特別展では、光太夫が当時の将軍徳川家斉の前で質問を受ける様子を描いた絵や、光太夫の証言と外国の出版物の情報を重ね合わせた北槎聞略なども展示している。

 担当者は「光太夫はロシア人に助けてもらいながら帰ってきた。ロシア関係は光太夫から始まり、敵対関係ではなかったことを知ってもらいたい」と話している。

 記念館は月、火、第3水曜が休館。問い合わせは、市文化財課=059(382)9031=へ。

 (沢井秀之)