【本文】

  1. トップ
  2. お出かけニュース
  3. 【三重】しだれ梅の名所、津・結城神社の宝物を一堂に展示 創建200年記念、名刀や足利尊氏の文書も

【三重】しだれ梅の名所、津・結城神社の宝物を一堂に展示 創建200年記念、名刀や足利尊氏の文書も

ジャンル・エリア : 三重 | 展示 | 歴史 | 神社・仏閣  2024年03月01日

初公開された、結城宗広が使ったとされる刀剣(右)=津市垂水の石水博物館で

初公開された、結城宗広が使ったとされる刀剣(右)=津市垂水の石水博物館で

 しだれ梅の名所として知られる結城神社(津市藤方)の創建200年を記念した特別展「結城神社の至宝」が、石水博物館(同市垂水)で開かれている。所蔵の宝物を一堂に集めた展示は初めてで、後醍醐天皇や足利尊氏ら南北朝時代を代表する人物から送られた貴重な文書や、同神社以外では初公開となる刀剣など、計65点を展示している。4月7日まで。

 結城神社は、陸奥国白河(福島県白河市)を拠点とする白河結城氏の武士で、南朝の後醍醐天皇を支えた結城宗広(1269~1338年)をまつる。宗広は安濃津(津市)で亡くなった説があり、津藩が文教政策の一環で1824年に建てた。

 神社は明治維新後の廃藩置県で一時衰退したが、県の役人の働きかけにより国から「別格官幣社」と認められ、1884(明治17)年に新しい社殿が建てられた。それ以降、全国の白河結城氏の子孫から宝物が奉納された。

 目玉は、石水博物館が開館以来初めて展示する室町時代の刀剣4振り。中でも宗広の家臣の子孫から1936(昭和11)年に奉納された刀は宗広本人が使ったとされ、名古屋新聞(現中日新聞)で「国宝級の名刀」と報じられたという。

青墨で花押(中央下)が書かれた足利尊氏の文書

青墨で花押(中央下)が書かれた足利尊氏の文書

 白河結城氏に送られた数多くの古文書も展示している。後醍醐天皇が宗広の子・親朝(ちかとも)に鎌倉幕府の倒幕を命じた綸旨(りんじ)を含め、県有形文化財の「結城神社文書」などが並ぶ。

 学芸員の桐田貴史さん(29)が「逸品中の逸品」と言うのは、宗広の敵だった将軍足利尊氏が、宗広の孫で自身に近い朝常(ともつね)に宛てた「足利尊氏御判御教書(ごはんのみきょうしょ)」。対立する南朝軍が京都を占領したと聞き、上洛(じょうらく)するため鎌倉に朝常を呼び寄せる文書で、花押は権威のある人だけが使う青墨でしたためられている。桐田さんは「歴史的な瞬間。将軍の気品と威厳が感じられる」と評価する。

 結城神社は戦後、宗教法人として再出発し、相撲道場を設けたり、しだれ梅を植樹したりしてきた。桐田さんは「宝物が失われず残っているのは、後世に伝えようとした先人の努力のたまもの。そうした感動も知ってほしい」と話した。

 午前10時~午後5時。月曜休館。3月9日、20日、4月7日には学芸員によるギャラリートークがある。入館料は一般500円、学生300円、中学生以下無料。結城神社梅園の入場料が割引される連携企画もある。(問)石水博物館=059(227)5677

 (寺岡葵)