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北京 お宝商売が映す格差

2011年06月04日

 たまに、北京の骨董(こっとう)市を歩く。

 お気に入りは中心部にある報告寺。陶磁器や硬貨などの露店が並ぶ境内に、観光客はまずいない。売り手も客引きなどせず、トランプに興じたり、本を読んだり。時間がゆったりと流れている。

 青白磁のかけらを扱う店に立ち寄った。「北京の旧市街地で見つかった明や清の時代のものだよ」と店主が指さす棚には、ティッシュ箱大の段ボール1箱で、100元(約1280円)の物も。庶民の日用雑器は比較的安価だが、朝廷御用達の窯で焼いた逸品だと、かけらでも高値。中国紙によると、昨年、北京で開かれたあるオークションでは、158件の取引総額は、688万元(約8800万円)に上った。

 「お宝」は、土の中に眠っている。店主によると、ビルなどの建設現場に夜間に忍び込み、盗掘するという。

 土砂崩落の危険がある上、警備も厳しい。最近では“仕事”を請け負う多くが、農村からの出稼ぎ労働者。違法と分かっていても背に腹は代えられないといい、探し当てては骨董商に売り、現金を得ている。だが、実際に事故も。昨秋には地方出身の男性が土砂に埋もれて命を落とした。

 「彼は気の毒だったね」と、さっきの店主がたばこをふかした。また1つ、この国の格差を垣間見た。(朝田憲祐)

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