ジャンル・エリア : グルメ | 石川 | 神社・仏閣 2022年10月20日
金沢市に来たのなら、朝はできたら早起きをしたい。
まずは元気よく兼六園へ。この天下の名園は季節により開園の時間が変わるのだが、通常の開園の前に「早朝無料入園」の時間帯があるのだ。11月なら午前6時から7時45分まで。「タダだからうれしい!」というわけではなく、来場者が少ないために園内をゆっくり散策できる。朝だけの楽しみ方だ。
この欄で今年5月、金沢駅構内だけで北陸の味を楽しむ企画を紹介したところ、読者から好評のご意見をいくつもいただいた。やっぱり金沢は大人気なんだ。では、今回は市内を散策してみよう。そのキーワードは「神社巡り」とまたもや「おいしいもの」。
兼六園で美しく剪定(せんてい)された木々や鳥の声を楽しむうち、午前7時すぎになったので、近江町市場へ向かう。前日に地元の北鉄バスの「金沢市内一日フリー乗車券」を買っておくと、移動に便利だ。
地元の人や観光客でいつもにぎわう近江町市場。今朝はここで朝食にしよう。朝早くから食堂などが営業中だが、私の目当ては「もりもり寿し近江町店」。名古屋や京都、大阪、東京にも支店があって大人気の回転ずし店だ。
特にここは、朝の8時から職人の握る本格的なお寿司(すし)が食べられる。ありがたいな。開店前の待ち時間を利用して市場の近くにある市姫神社にお参りしよう。ここは近江町市場の氏神様。「今日もまたおいしいものをいただけますように」と厚かましく祈る。
時間が許せば、尾山神社に参拝されるようお勧めする。こちらのご祭神は、加賀藩の藩祖・前田利家と妻の芳春院(まつ)さまだ。大晦日(おおみそか)から新年には参拝者が行列をなす石川県有数の初詣スポット。しかしふだんなら落ち着いて参拝できる。
市場に戻り、午前8時に。もりもり寿しが開店する。
順番に案内されて入店し、まずはお造りを注文してみる。ほどなくきた品は、アマエビに梅貝(ばいがい)、ガスエビにブリ…ああ幸せが押し寄せてくる。まだ朝だが、ビールもお願いしちゃおう。ふふ。
店内はかなり広いが、すぐ満席になる。店の外には長い行列だ。握りに軍艦、巻物や茶わん蒸しなどを満喫したら次のお客たちに席を譲ろう。
お勘定を済ませたら、市場から歩いて5分、尾崎神社にお参りする。こちらは江戸時代、徳川家康公を祭る東照権現社として落成した。「三つ葉葵」のご紋が社殿のあちこちにあり、由緒正しい神社だ。少し背筋が伸びる。
ここでようやく10時すぎ。一日はまだまだ長く、金沢の神社とおいしいものの散歩は来週に続く。 (三品信)
▼ガイド 北鉄バス「金沢市内一日フリー乗車券」は大人600円、小学生300円。金沢駅前の北鉄駅前センターや主なホテルなどで買えます。使いたい日を伝えてください。「もりもり寿し近江町店」では予約を受け付けていません。開店の前から整理券を発行してくれますが、行列に並ぶのも旅の楽しみのうちとお考えください。名古屋・新瑞橋にもお店がありますよ。
(中日新聞夕刊 2022年10月20日掲載)