ジャンル・エリア : グルメ | 文化 | 神社・仏閣 | 近畿 2023年05月29日
大津市の和菓子製造販売「叶匠寿庵」は、紫式部が源氏物語の執筆に使ったと伝わる硯(すずり)に着想した和菓子「葛(くず)焼き 染め筆」を、石山寺店で販売している。硯は濃淡の墨を使い分けたとされ、葛焼きでも見た目と味で濃淡を表現。墨汁に見立てた黒蜜をかけて楽しめる。店内飲食と持ち帰りのいずれも6月6日まで。
石山寺は紫式部が源氏物語を着想した場所とされる。寺所蔵の硯は墨をする部分と、ためる部分が各2カ所ある。濃淡の墨を使い分けるためと言われ、墨をためる部分には「濃(こい)」と「淡(うすい)」にちなみ、それぞれ鯉と牛が浮き彫りされている。
葛焼きは黒豆と小豆で、見た目だけでなく味でも濃淡を表現した。店内で食べる場合は、本物の硯を器にして提供する。香ばしく素朴な葛焼き本来の味わいだけでなく、墨汁を垂らすように黒蜜を葛焼きにかけて味の変化も楽しめる。
葛焼きは新商品の社内公募で、秘書広報課の関野芽生(めい)さん(26)が考案した。来年には紫式部が主人公のNHK大河ドラマ「光る君へ」が放送されることから、和菓子でも地域を盛り上げようと、若手社員で商品化にこぎ着けた。関野さんは「歴史ある硯を和菓子でも伝え、地域に愛される店になるよう、今後の物語を描いていきたい」と語る。
黒豆と小豆の各1個とほうじ茶のセットで600円。2種類の葛焼きが2個ずつ入った持ち帰り用は1080円。水曜定休。
(北村大樹)