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【滋賀】「石山寺縁起絵巻」11年ぶり全巻公開

ジャンル・エリア : 展示 | 歴史 | 神社・仏閣 | 芸術 | 近畿  2023年06月22日

石山寺縁起絵巻を全巻展示した会場

石山寺縁起絵巻を全巻展示した会場

 紫式部が源氏物語を着想したとされる石山寺に伝わる国重要文化財「石山寺縁起絵巻」の全7巻が、大津市の石山寺豊浄殿(ほうじょうでん)で展示されている。全巻そろえて披露するのは11年ぶり。寺の創建からの歴史や当時の庶民の暮らしぶりが描かれ、時代ごとの絵巻を見比べて楽しめる。30日まで。無休。

 絵巻は鎌倉時代に描かれた1~3巻、室町時代制作の4巻と南北朝時代の5巻、江戸時代に描かれた6、7巻の計7巻。制作の開始から来年で700年となるのを記念して、全巻を公開した。絵巻の近くでは、描かれた内容や時代背景をパネルで解説する。

 1巻の始まりは石山寺を造るきっかけとなった場面で、開祖とされる良弁僧正が石山に向かうよう夢の中で告げられる。皇族や貴族が参詣する様子が続き、4巻では紫式部が寺にこもり、本堂から琵琶湖に映る月を眺め、源氏物語の構想を練ったとされる場面の一端が、細やかな筆遣いで表現されている。

 5巻では、瀬田の唐橋から大事な文書を川に落とした下人が寺で祈ると、コイを買い求めるようお告げを受け、買ったコイの腹から文書が出てきた様子を表現する。6巻では、寺で毎年5月に開かれる「青鬼まつり」の由来となった、学僧朗澄(ろうちょう)律師が「死後も鬼の姿になって経典類を守る」と言ったと伝えられる場面を、濃厚な色彩で描く。

 
絵巻に描かれた、紫式部が源氏物語を着想したとされる場面=いずれも大津市の石山寺で

絵巻に描かれた、紫式部が源氏物語を着想したとされる場面=いずれも大津市の石山寺で

 展示では絵巻のほか、源氏物語の場面を表現したびょうぶや、紫式部が執筆で使ったと伝わるすずりなど計32点を集めた。寺の田中水萌(みずほ)学芸員は「寺の境内で全巻を鑑賞できるのはめったにない機会。分かりやすいのが絵巻の魅力で、パネルに書かれたエピソードと見比べて、どのように描かれているかを楽しんでほしい」と話す。

 午前10時~午後4時。入山料と入館料合わせて中学生以上900円、小学生400円。(北村太一)