【スロヴァキア】駅のエレベーター
2024年3月 4日
旧社会主義国には、駅にエレベーターもエスカレーターもないことが少なくありません。腕を痛めながら階段を上り下りしてスーツケースを運ぶことを、「社会主義的な苦行」だと密かに思ってきました。
ブラチスラヴァもそうでした。たいへんなので、本来は歩行禁止の線路上の道を用心して渡ることもありました。ホームレスの社会復帰のため、ポーターとして起用されていた時期もあります。
それがいつしかエレベーターが設置されていました。これまでとは別の地下道をつくり、そこで行き来できるようにしたのです。ここにきて、ようやくバリアフリーを実現しました。
できてしまえば当たり前の景色として溶け込み、昔からそうだったかのように見えます。あの「苦行」もいまではいい思い出となりました。それもこれも社会はこうして少しずつでもいい方向に進んでいくものだからだと信じたいです。
- 増田 幸弘
1963年東京生まれ
スロヴァキアの都・ブラチスラヴァ在住のフリー記者。
ヨーロッパ各地を取材しながら、日本でも取材。新聞・雑誌に特集記事や連載記事を執筆している。
「プラハのシュタイナー学校」(白水社)や「プラハ カフカの生きた街」(パルコ出版)などの著作がある。
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