とうえい自転車さんぽ「ぽたび」~お花見ぽたび~(愛知県東栄町)
2023年4月 5日
今年の春は早かった。まだ3月だというのに桜はほぼ満開、奥三河の桜前線も足早に駆け抜けていった。都市部の桜もいいけど、里山の桜が好きだ。奥三河を車で走っていると、桜の名所でなくても、ここかしこに美しい桜が咲き誇る。
4月になったばかりなのに、東栄町の桜はピークを迎えようとしていた。早い遅いはあるが、まさに超満開の桜たちが里山を彩っていた。
そんな桜日和の穏やかな日曜日。東栄町の里山を地元のガイドとめぐる「とうえい自転車さんぽ"ぽたび"」に参加。「ぽたび」は‟ポタリング″(自転車散策)と"旅"の組み合わせ。まさに春爛漫の里山・東栄町のまちを自転車で旅をした。
スタート地点はとうえい温泉。坂道でも安心な電動自転車が用意され、さあ出発。行き先の予定は地図で示されたが、それはどこでもいい。むしろ、目的地がない方がいい。それがポタリング。地元に詳しいガイドが、その日に一番相応しいスポットへご案内いただける。僕らはそれに身を任せるだけでいい。自由気ままに、思いつくまま、参加者の意向も聞きながらコースも変わる。それが‟ぽたび"の良さだと思う。
途中、祭りをやっていればお邪魔させていただき、ガイドの知り合いの地元の方たちと笑顔で挨拶を交わす。
今回の「ぽたび」のテーマは、お花見さんぽ。満開もあれば、咲き始めも散り始めもある。桜だけではなく、山里を彩る花を巡り、時々、自転車を停めて、風景を眺める。
お昼ご飯は、旧小学校跡地でチェアリング。自分好みの場所で、折り畳み椅子を広げてのんびり寛ぐチェアリング。この「ぽたび」のコンセプトには相応しい。校庭の満開の桜から花びらが舞い、穏やかな風に吹かれながらの美味しいランチタイム。そして、お花見だんごと轢きたて淹れたてコーヒーのおもてなしタイム。
ああ、気持ちいい。このままここで何も考えずに里山時間を感じたい。
旧小学校の廃校のなごり、まちなかの古民家に忽然と現れる洋菓子屋さん。
まっすぐな道の向こうに見える山の姿、なんでもない集落の路地めぐり。そして、お花見さんぽならではのミツバツツジの群生、観光マップには載っていない静かな滝の流れ。
おそらく地域文化として根付いているであろう石仏の数々。かつて、この町には石工が多くいたという。そんな地域の暮らし文化が興味をそそる。
ぐるっと東栄町の中心部を中心に、休憩をとりながら4時間の自転車さんぽ「ぽたび」。普段、車では見えなかった、気づかなかったディープな東栄町めぐり。テーマを設けてめぐるもよい。テーマ無しに、ただただガイドに任せてめぐるのも面白い。自然、暮らし、文化、生活、食、人、それらを体感しながら暮らすように旅をする。
東栄町はとても好きな町。多分、10回以上来ている。車でほぼほぼ行きたいところは行きつくしていたが、この「ぽたび」で、新たないいところを知った。
自転車でなければ、地元のガイドさんと一緒でなければ、出会えなかった風景や生活文化。よそ者でもその地域住民であるかのような自転車旅が楽しく続いた。
春も夏も秋も冬も、東栄町の四季は美しい。車を降りて、風を感じながら「ぽたび」しませんか。
(一部写真提供協力:一般社団法人東栄町観光まちづくり協会)
■とうえい自転車さんぽ「ぽたび」
https://potabi-toei.com/
■東栄町のじかん
https://www.toeinavi.jp/
- 田中三文(たなか みつふみ)
愛知県豊橋市生まれ。
出版社、シンクタンク勤務を経て、現在は一般社団法人ほの国東三河観光ビューローのマーケティングディレクター。旅人総研代表。愛知大学地域政策学部非常勤講師(観光まちづくり論)。
東海地方を中心に、地域を盛り上げる観光事業や集客計画など、手がけてきたプロジェクトは数知れず。生まれ育った愛知県東三河に腰を据え、地元活性のために奔走する。また、旅人総研代表として、講演やフォトラベライター(旅するカメラマンライター)などの個人活動も実施。旅と写真とロックを愛する仕事人で、公私ともに、さすらいの旅人として各地を巡っている。
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