マルシェを巡る旅(静岡県、愛知県)
2022年1月19日
僕自身の旅の目的はかつてより多様に広がっている。いわゆる物見遊山的に名所旧跡を巡ることもあれば、自然景観を愛でる旅もするが、もっと、生活に近い感覚の食や買い物も、旅の選択肢のひとつになっている。モノ売りはショッピングモールや商店街だけではない。いろいろな形態の場所でモノが売られるようになってきた。そんななか、マルシェ(市場)に注目して、あちこちへ出かけた。
そこには単なるモノ売りではない、モノを買わなくても楽しめるコト売り、人を繋ぐコミュニケーション、そして、何よりどこにも笑顔が溢れていた。
浜松で最近始まった「森の朝市」では、まさにそんな雰囲気が味わえる。"生きること"、"食べること"に真剣に向き合い、自分たちができる持続可能社会実現のために新しく立ち上がった「LOCAL ACTION HAMAMATSU」が昨年の12月から毎月開催。
「森の朝市」は、単なるマルシェイベントではない。目的は売ることではなく、その先にある。「環境と人を守るものを選ぼう」「買い物は顔が見える人と」「地元の農家を応援しよう」などなど。この活動が出展者や参加者のコミュニケーションを生み、新たな行動への気づきやきっかけになる。そしてLocal Actionに繋がっていくのだと思う。一人ひとりができること、地域ができることって、簡単ではない。けれど、それを仕掛けることが、はじめの一歩として大事なんだということに改めて気づかされた。
今後の開催予定は、2月(開催日未定)、3月20日(予定)。気持ちのいい森の朝市へ、マイかご、マイバッグ、マイタッパ等持参でお出かけを。会場は、浜松市の静岡県立森林公園・バードピア浜北で。
森の朝市へ寄ったその足で、島田市の「KADODE OOIGAWA」へ。新東名高速道路・島田金谷IC降りてすぐにあるドライブイン型複合施設。大井川鐡道の「門出駅」を新設したことも話題である。ここは施設型であるが、大井川流域での農産物を販売する「KADODE OOIGAWAマルシェ」があり、新鮮野菜や果物、肉、魚までが揃っている。農家レストランも併設されており、買う、食べる目的の休日にはふさわしい。
愛知県新城市の軽トラ市「のんほいルロット」へも出かけた。岩手県雫石町、宮崎県川南町と並んで日本三大軽トラ市と言われており、市内中心部の商店街や大通りで50店舗以上の軽トラが並ぶ。今年の1月で126回目の開催と、10年以上の歴史と実績がある。
訪れたのは年末だったが、思ったよりも多くのお客さん。そして、出店者もお客さんも常連さん風が多く、慣れ親しんだ友だち感覚での会話が弾む。「よいお年を!」「お元気でのん。」「また、来とくれんよ。」と方言が飛び交う風景はこの軽トラ市が築いてきたコミュニケーションの賜物だろう。
愛知県豊橋市のまちなか広場でも、「まちなか軽トラ市」が開催された。豊橋市役所と地元の愛知大学地域政策学部の学生たちのコラボにより実現した朝市。まだ、試行錯誤の面も感じたが、今後、まちなかの人たちを繋ぐ場所に育っていくんだろう。このまちなか広場では、クリスマーケットも開かれた。手を変え、品を変え、様々なマルシェが展開されるのは面白い。
同じく豊橋の駅前で開催されていた「とよはしクリスマスマーケット」も訪れた。駅前周辺のイルミネーションとともに、クリスマス気分を味わえる冬の風物詩として定着してきた感がある。
愛知県春日井市では、JR勝川駅前の商店街で「勝川弘法市」が毎月開催されている。大雪やコロナで中止の時期もあったが、2003年から毎月続けられている地域に愛される商店街型マルシェだ。駅前から続く通り約300mに、テントショップや屋台が連なり、賑わいを見せる。出店者も来訪しているおそらく周辺市民のお客さんたちも楽しげだ。この活動なども評価され、中小企業庁より「はばたく商店街30選」2021に選定された。素晴らしい。
その他、各地でもさまざまなマルシェが開催されている。あなたも、地元やちょっとお出かけして楽しいマルシェ時間をどうぞ。さあ、次はどこへ行こうか。
なお、各マルシェは、コロナの状況により中止、延期等となる場合がございますので、お出かけの際は各主催者のWEBサイト等でご確認ください。
- 田中 三文 (たなか みつふみ)
愛知県豊橋市生まれ。
出版社勤務を経て、現在は三菱UFJリサーチ&コンサルティング 政策研究事業本部 上席主任研究員。
愛知大学地域政策学部非常勤講師(観光まちづくり論)
地域を盛り上げる観光事業や集客計画など、手がけてきたプロジェクトは数知れず。
2012年より2014年まで昇龍道プロジェクト推進協議会・台湾香港部会長を務め、
同エリアのインバウンド促進計画や外国人受入環境整備などにも力を注いでいる。
旅と写真とロックを愛する仕事人で、公私ともに、さすらいの旅人として各地を巡っている。
日本の真ん中に位置する中部北陸地域の形は、能登半島が龍の頭の形に、三重県が龍の尾に似ており、龍の体が隈無く中部北陸9県を昇っていく様子を思い起こされることから同地域の観光エリアを「昇龍道」と呼んでいます。
この地域には日本の魅力が凝縮されており、中部北陸9県が官民一体となって海外からの観光客誘致を促進する「昇龍道プロジェクト」も好調です。このブログでは、「昇龍道」の四季折々の姿を写真と文章で紹介していきます。
投稿についての注意事項
- このブログへのご質問については、内容によってお答えできない場合や、回答に時間がかかる場合があることをご了承ください。