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コラム 熱湯コラム「いで湯のあしあと」

岐阜・飛騨高山温泉 知られざる湯質

岐阜・飛騨高山温泉 知られざる湯質

 飛騨高山温泉と聞いて、ピンとくる人は少ないのではないだろうか。
昔から飛騨高山へは何百回も来ているし、市内に点在する個々のホテルや旅館が温泉を引いているのは知っていても、正直、温泉目当てで来たことはなかった。ラーメンか飛騨牛か酒蔵くらいである・・・いや、陣屋や祭りや朝市や古い町並みがあるのもモチロン知ってるけど。
しかし、今回泊まったこの宿は、そんな印象を180度覆してくれた。

 高山駅から車で約5分。市の中心部からやや離れたところに『飛騨亭 花扇』がある。農地だったオーナーの敷地を、18年前に旅館にした。自家源泉を掘り当て、高山市内でも独自の湯質が自慢の温泉を持つ。エントランス横には、りっぱな錦鯉が悠々と泳ぐ池と共に、豊富な湯量が湧き出す足湯が贅沢に施されている。高山市内の旅館にしては、結構スケールの大きい宿である。

 ロビーに通されると、色とりどりの浴衣が並べられている。こうしたちょこっとオプションは女心をくすぐられますね。どの色にしようか悩んでいると、「最近は結構お若い方が地味なものを、年配の方が派手なものを選ばれるんですよね」と仲居さん。すかさず地味な浴衣をチョイスし、早速自慢の源泉を吟味しようと、お風呂へ突進した。

 湯船に身を沈めてびっくり。なんだこのお湯は!?あまりにぬるぬるで、つるんと頭まで入ってしまいそうな勢いだ!お隣の下呂温泉ですら、PH値高めのアル単美肌温泉だと思っていたけど、それ以上である。というか、今まで入ったどのお湯よりぬめりがすごい。超乾燥肌用のローションの中に入っているみたいだ。高山にこんな温泉があったなんて!!!

 飛騨高山温泉はどちらかというと、さらさらとした無味無臭の、当たり障りのない湯質である(と思っていた)。高山なんて何百回も来てるのに、盲点だった・・・。とろりとした質感、濃い泉質のお湯。驚きに戸惑いながらも、ここぞとばかりにお湯を体中に擦り込む、擦り込む。

 夕食で部屋に戻ると、食事の準備をして下さった仲居さんの年齢を聞いてさらにびっくり。とても45歳に見えない。絶対ここのお湯に毎日入ってるに違いない。すごくよい湯質ですねぇ、と感激して言うと、「ここのお湯を掘った時は最初、他の所と同じようにさらっとしたお湯だったんですが、さらに奥深く掘ったら、こんなぬるぬるしたお湯がでてきたんです。」
ほう・・・・・・そういうもんなんですかねぇ。

 お料理も自慢の一つだと説明しながら、美人な仲居さんは、菜の花の胡麻和え、寒ブリの造り、岩魚の塩焼き、天下の飛騨牛刺身とステーキなどなど、見た目にも美しく、食べきれないほどの品々を次々と出してくれた。そして、それを私は次々と平らげていき、いつもの高山の夜が更けていった。

 ミシュランガイドブックで三ツ星をとった高山市。数年前に比べると、圧倒的に外国人が増えたという。高山市全体を通じて、インバウンド送客にポジティブな姿勢である。この花扇にも、あるフランス人がリピーターとして来ているらしい。旅館ならではの細やかな心遣い、日本人独特のホスピタリティー、素晴らしい源泉、美味なお料理。こんな宿ならフランス人でなくとも、私だってリピーターになりたい。

 しかし、これまでいろんな温泉を巡ってきたけど、改めて今回の温泉はホントにびっくりした。新たな高山を発見した気がして、まだまだ温泉の奥深さを感じずにはいられなかったのである・・・・・・。

【飛騨高山温泉 飛騨亭 花扇】
住所: 岐阜県高山市本母町411-1
電話: 0577-36-2000
アクセス
 車の場合: 東海北陸自動車道 高山IC → R158 10分
 (マップ:http://www.hanaougi.co.jp/access/index.html
 公共交通機関: 名古屋駅より特急ワイドビューひだで2時間15分(高山下車) → 高山駅より徒歩15分又はタクシー5分
温泉名: 飛騨高山温泉 神代の湯
泉温(源泉): 26.7度 (PH値 7.0)
泉質名: ナトリウム炭酸水素塩温泉(低張性中性温泉)
色・味・匂: 淡黄色、微硫化水素臭
効能: 神経痛、筋肉痛、五十肩、うちみ、くじき、冷え性、病後回復期、疲労回復、健康増進、切り傷、火傷、皮膚病 等
料金: ¥13,000~¥29,000(一泊二食付)
公式HP: http://www.hanaougi.co.jp/

2011年03月03日

コラムフォト

取材担当プロフィール

みなもといずみ
近場から遠出まで、行く先々に温泉マークを見つければすぐに飛び込んでしまうほどの温泉女。出張先ですら、温泉があればタオルとパンツを持ってでかけます。女である以上、温泉に癒される人生は永遠です。行き当たりばったりの旅が大好きな私のあこがれは、スナフキン。点々と旅を続けながらいで湯を求め、足あとを残していきたい!