【スロヴァキア】街を見下ろすスラヴィーン
2019年12月30日
ブラチスラヴァの街を見下ろす小高い山の上に、スラヴィーンと呼ばれる塔があります。この塔は戦時中、占領下に置かれた街を解放した赤軍の慰霊碑となっています。
スラヴィーンは1957年から60年にかけてつくられ、解放15年にあたる1960年4月3日、解放にあたって命を落とした6845名の赤軍兵士の霊廟として公開されました。
興味深いのはチェコでは共産体制の時代につくられた旧ソ連に関連するモニュメントが撤去されたり、あるいは移動されたりするこことが少なくないのに対し、スロヴァキアではこのスラヴィーンのようにいまも市民に愛されていることです。かつて同じだった国でも歴史に対するメンタリティーがずいぶんちがうのに驚かされます。
歴史をどうとらえるかはむずかしい問題で、どの国であれ、多かれ少なかれ、隣国との軋轢を抱えています。1989年にベルリンの壁が崩壊し、冷戦が終結して30年。過ぎ去った歴史を尊重し、世界の平和がつづくといいと心から願っています。
- 増田 幸弘
1963年東京生まれ
スロヴァキアの都・ブラチスラヴァ在住のフリー記者。
ヨーロッパ各地を取材しながら、日本でも取材。新聞・雑誌に特集記事や連載記事を執筆している。
「プラハのシュタイナー学校」(白水社)や「プラハ カフカの生きた街」(パルコ出版)などの著作がある。
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