令和の大凧舞う浜松まつり(静岡県浜松市)
2019年5月 9日
今年の浜松まつりは、平成から令和への改元後3日目となる5月3日から5日にかけて3日間開催された。
毎年、この日程で開催されているが、今年は改元後間もないタイミングであったことから、
新時代を祝うかのような祝祭ムードが例年にも増して高かったようにも見えた。
浜松まつりは、一説によれば、江戸時代から続くまつりで450年以上の歴史があるという。
神社の祭礼行事ではなく、市民の手による市民のまつりである。
大きくは昼の部の「凧揚げ」と夜の部の「御殿屋台」の2部構成で、浜松まつりは繰り広げられる。
凧揚げ会場は、中田島砂丘に隣接する広場で開催される。
初日10時からの開会式は、開会宣言と同時に、参加する174の町の旗を持った町衆たちが、一斉に本部前に集結し、激しい練りを繰り広げる。
開会式から熱気は早くもピークを迎える。
凧揚げの初日は、各町ごとで初子の誕生を祝う「初凧」が空高く舞い、その子どもと親が町衆たちに祝福を受ける。
凧が揚がると、ラッパと練りと最後は全員万歳で町内の人たちが初子を祝う。
町内の人たちが祝うこのシーンは何度見てもいいものである。
浜松では、これがずっと繰り返されてきた。
地域の深い絆やコミュニティ力はここから生まれているのだろう。
凧揚げの2日目と3日目は、各町同士による「糸切り合戦」が行われる。
互いに負けまいと激しく戦う姿は、浜松っ子気質を表している。
今年の凧揚げでは、浜松市が用意した「令和」の大凧が空高く舞った。
気持ちよく青空に揚がっていくその様は、明るい新時代への希望にも見えた。
凧揚げ会場には、縁日の屋台も並び、市民のほか見学者もまつり気分を楽しんでいた。
夜の部となる「御殿屋台」は、会場をまちなかに移し、浜松駅周辺の中心部で行われる。
夕暮れになると、各町内が用意した豪華絢爛な御殿屋台に明かりが灯り、中心部の通りで引き回される。
屋台には本格的な彫刻が施されており、それだけでも価値があるものとなっている。
屋台には町内の子どもたちが乗り込み、笛、太鼓のお囃子が奏でられる。
大人の三味線の音色も加わり、大都市浜松のまちなかが妖艶な雰囲気に包まれる。
屋台はゆっくりと引き回され、各町の屋台が路上で行きちがう。
妖艶な屋台の横では、男衆などがラッパを吹きならし、練りも繰り広げられ、浜松まつりの熱い夜は続く。
- 田中 三文 (たなか みつふみ)
愛知県豊橋市生まれ。
出版社勤務を経て、現在は三菱UFJリサーチ&コンサルティング 政策研究事業本部 上席主任研究員。
愛知大学地域政策学部非常勤講師(観光まちづくり論)
地域を盛り上げる観光事業や集客計画など、手がけてきたプロジェクトは数知れず。
2012年より2014年まで昇龍道プロジェクト推進協議会・台湾香港部会長を務め、
同エリアのインバウンド促進計画や外国人受入環境整備などにも力を注いでいる。
旅と写真とロックを愛する仕事人で、公私ともに、さすらいの旅人として各地を巡っている。
日本の真ん中に位置する中部北陸地域の形は、能登半島が龍の頭の形に、三重県が龍の尾に似ており、龍の体が隈無く中部北陸9県を昇っていく様子を思い起こされることから同地域の観光エリアを「昇龍道」と呼んでいます。
この地域には日本の魅力が凝縮されており、中部北陸9県が官民一体となって海外からの観光客誘致を促進する「昇龍道プロジェクト」も好調です。このブログでは、「昇龍道」の四季折々の姿を写真と文章で紹介していきます。
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