【スロヴァキア】ビックバチャの建物
2022年10月24日
20世紀前半に建てられた機能主義建築はいまとなっては街並みにすっかり溶け込み、そのよさになかなか気づいてもらえないことも多いのではないかと思います。
旧市街の入口というか出口にある建築もそのひとつかもしれません。ちょっとモダンな印象があって目を惹くこの建物、1931年、チェコのズリーンという街を本拠とした靴会社バチャの店舗兼サービスセンターとして建てられました。ブラチスラヴァでもっとも古いデパートともいわれます。
バチャは戦前、靴を大量生産し、世界中に輸出した企業として知られます。ズリーンに残るバチャの管理棟だった16階建ての建物(現在は行政庁舎として利用されています)を設計した、ヴラディミール・カルフィークがこのデパートの建築家です。
バチャという企業がかつてもっていた世界観には、グローバル化が進んだいまと重なる先見の明を感じられるのですが、戦争と戦後の共産化で潰えてしまったのはつくづくもったいなかったなあと思います。
- 増田 幸弘
1963年東京生まれ
スロヴァキアの都・ブラチスラヴァ在住のフリー記者。
ヨーロッパ各地を取材しながら、日本でも取材。新聞・雑誌に特集記事や連載記事を執筆している。
「プラハのシュタイナー学校」(白水社)や「プラハ カフカの生きた街」(パルコ出版)などの著作がある。
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