【本文】

  1. トップ
  2. コラム
  3. カメラマンが行く!プロゴルフトーナメント
  4. AbemaTVツアー 南秋田みちのくチャレンジトーナメント 2019

コラム カメラマンが行く!プロゴルフトーナメント

AbemaTVツアー 南秋田みちのくチャレンジトーナメント 2019

AbemaTVツアー 南秋田みちのくチャレンジトーナメント 2019

東海林太郎音楽館。入り口をくぐると、肖像写真と奥には生家の玄関先が。

東海林太郎音楽館。入り口をくぐると、肖像写真と奥には生家の玄関先が。

 AbemaTVツアー南秋田みちのくチャレンジトーナメントへ行ってきた。今年で秋田も5年目。そろそろネタ切れか?いやいや、まだまだ秋田の魅力はいっぱいです。
 いつものようにチャレンジは月曜がプロアマ大会、火曜日が練習ラウンドで私はお休み。一仕事終えた所でいざ秋田観光へ…。観光から先に入ってしまいます。今年は何処へ行こうかとホテル周辺の地図を見ていたら、「東海林太郎音楽館」を見つけた。それもホテルのすぐ裏辺りだ。東海林太郎といえば、昭和初期の歌手“赤城の子守唄”というくらいの知識しかない。しかも「音楽館」という名称がついている。多少音楽を嗜む者として興味が湧き、行ってみることに。ホテルの駐車場の真裏、老舗菓子舗榮太楼さんの2階にある(今まで気付かなかった)。入り口はちょこっと入りづらいが、いそいそと入ってみる。2階へ上がり、入り口をくぐると東海林太郎の肖像写真と案内役の女性が迎えてくれた。ん?正面には民家の玄関が?東海林太郎の生家が取り壊されるとき、玄関先を移設したものらしい。玄関横には等身大のパネルが、奥には肖像画が飾られている。
 案内には「秋田が生んだ国民的歌手東海林太郎の人間性と音楽を伝承し、地域振興に寄与するため平成17年に開館しました」とある。「歌は真剣勝負。マイク一本四方が私の道場です」といって燕尾服を着用し、一尺四方の中で直立不動で歌った。館内には東海林太郎の使用した机や、レコード、蓄音機、論文、ピアノなどが展示されている。
 玄関は実際にくぐれる様になっていて、その奥の部屋は“大鵬ギャラリー”になっている。そう、あの「巨人、大鵬、卵焼き」の昭和の大横綱大鵬だ。何故にここに“大鵬ギャラリー”が?というのも榮太楼の社長の娘さんが大鵬の奥様だったそうな。東海林太郎と大鵬はまったく関係ないが、榮太楼の現社長の祖母が東海林と幼馴染だったことから、東海林太郎音楽館がここに開館されたようだ。

 その後、すぐ近くにある「ねぶり流し館」へ。以前から知っていたが入ったことがなかった。竿燈を中心に、秋田の民族芸能の展示がされている資料館というところか。秋田といえば男鹿半島の「なまはげ」が有名だが、東北三大祭の一つ「竿燈祭り」も劣らぬ知名度がある。「竿燈」とは竹竿に連なる提灯をつけ稲穂に見立てたもので、額や肩に載せ技を競うとともに豊作を祈る祭りだ。竿燈は各町内や地区から出され、こちらでいう国府宮はだか祭の「なおい笹」や高山祭の「屋台」と同じで、地域全員参加型。開催時期は8月3日~6日で、私の出張とは時期がずれているため実際に見ることは出来ないが、ここでその雰囲気を体験することが出来た。なんといっても入館料100円はお得!隣の旧金子家住宅も見学できてかなり楽しめます。
 

私はそばをいただいた。出汁の効いた懐かしい味に舌鼓。小さいころの思い出が…。私は秋田出身ではないが、昔は日本全国どこにでもあったのだ。一杯250円。

私はそばをいただいた。出汁の効いた懐かしい味に舌鼓。小さいころの思い出が…。私は秋田出身ではないが、昔は日本全国どこにでもあったのだ。一杯250円。

 次に向かったのは「道の駅あきた港セリオン」。目的は「うどん・そば自動販売機」。何故に?と思われるかもしれないが、、、。ここのうどん・そば自販機は全国的に有名なんです。もともとは土崎港(秋田港)近くの食品販売店「佐原商店」に置かれていたこの自販機。極寒の秋田で港湾関係者の体を温めてきた。何でも地元秋田出身の女優佐々木希さんがテレビで「青春時代よく佐原商店までうどんを食べに行っていた」と紹介したのがきっかけだとか。さらにNHKの番組「ドキュメント72時間」で取り上げられ、全国的に有名になったのだ。その後佐原商店閉店のため撤去することになり、行き場がなくなった自販機は、常連客の強い要望によりセリオン内に移設することに。すると今度は観光客に大人気。何でもこの自販機は全国に数台しか残っておらず、レトロ感が堪らない。使用済みのカップは平日だというのに既に150杯近くたまっていた。連続12食くらいでお湯が無くなるので、お湯が沸くまで50分待たなくてはならないらしい。隣にはテーブル席があり、観光客なのか、若い女性たちも、うどん・そばをすすっている。中々“シュール”な光景だ。私も一杯そばをいただいた。一杯250円。懐かしい味に舌鼓。「昔は何処にでもあったなぁ…」と子供のころを思い出した。ドライブイン、24(ニーヨン)笑。アーカイブで「ドキュメント72時間」を見てみた。「その自販機は吹雪の向こうでずっと立ち尽くしていた…」のナレーションで始まる番組。自販機が設置されて四十数年、カウントらしきものには40万食。お客は運転手、カップル、家族、親子、若者グループ、老人、仕事帰りの人。そこには地元の常連客の青春があり人生があった。「安いし美味しいし手軽。体も心も温まる感じだね」と常連客。「ここはいつか帰る場所。自販機はずっとここで待っている」。ちょこっと、いやぁかなり感動w。なんとなくその魅力が理解できたような…。
 現在、店を畳んだ店主の佐原さんは道の駅の社員としてこの自販機の管理を任されているのだとか。自販機、店主ともに第二の穏やかな人生を歩んでいた。

優勝の朴ジュンウォン。レギュラー復帰も近い。

優勝の朴ジュンウォン。レギュラー復帰も近い。

 1日秋田を堪能して水曜日から本戦がはじまったプロアマ。初日は少し雨が降ったものの、3日間晴れ時々曇り。優勝は韓国ソウル出身の朴ジュンウォン。Novil Cupに続き、今シーズンチャレンジ2勝目を挙げた。今年はAbemaTVチャレンジャーズとして女子プロの服部真夕が参戦。予選通過は叶わなかったが、大会を盛り上げた。
 最終日の最終組は小池一平、阿久津未来也、玉城悔伍共に10アンダー3名。その2組前まで9アンダー6名。山下和宏、すし石垣、J・チョイとベテラン勢。誰もがプレーオフを予想したが、最終組が伸び悩む中、6組前から7アンダーでスタートした朴ジュンウォンが、8バーディー1ボギーと猛チャージ。1番2番と連続バーディーを決めると、4~7番まで4連続バーディー。唯一8番をボギーとしたものの後半2バーディーで64、通算14アンダー。2位に2打差で完勝した。
 16年レギュラーツアー優勝者のジュンウォンも今年はチャレンジからスタート。「以前から自分に合っているコースだと思っていたので、何時かチャンスが来ると思っていました。複数回優勝も初めてのことなので、素直に嬉しいです」。2勝目を挙げレギュラー復活に王手をかけた。
 何故か?いつも思うのだが韓国の選手には突然、猛チャージする選手が多いような気がする。気のせいだろうか?以前ドンファンが自国のゴルフ環境の悪さを嘆いていたが、より良い環境を求め異国で生活し戦うハングリー精神の違いなのだろうか。会見でジュンウォンは「まさか優勝争いをしているとは思いませんでした」と。「自分は優勝や賞金王というより常に上位にいる選手でありたい」と話した。“自分との戦い”に徹したことが良い結果をもたらしたのかも知れない。勝因は何?「毎日“赤から鍋”を食べてました」笑。

趙ビョンミンは通算12アンダー2位タイ。6バーディー1ボギーの追い上げにも、「優勝争いしているとは思わなかったです」。

趙ビョンミンは通算12アンダー2位タイ。6バーディー1ボギーの追い上げにも、「優勝争いしているとは思わなかったです」。

 朴ジュンウォンも言うように、同じく追い上げで通算12アンダー2位タイの趙ビョンミンも「優勝争いをしていることが分からなかった」らしい。レギュラーツアーと違い、チャレンジはスコアボードが少ない。ここ秋田も一昨年までは15番グリーンに手書きのボードがあったが、昨年からは無くなって18番だけになっていた。
 リーダーボードがない限り、ラウンド中に選手は自分の順位を把握できない。スマートフォンという手もあるが、違反など嫌疑をかけられる場合があるため控えているのだろう。順位を知っているのはギャラリーだけで、選手達は黙々とプレーをしているのだ。ホールアウト後、スコアカードを提出して初めて自分のポジションを知る。ギャラリーからしてみれば、テストをやっている選手を傍観しているようなもの。「リアルタイムで順位が分かればもっと盛り上がるんじゃないか?」という意見も聞くが、レギュラーのボードの多さはトッププロの特典のようなもので、また、ギャラリーにとってはサービス。それだけゴルフというスポーツが精神に寄ったものなのだろう。順位を競うというよりもベストを尽くし、如何に良いスコアで回るか?その先に結果(順位)が待っている。同伴競技者はたまたまいるだけで、正に「自分との戦い」という世界感なのだろう。
 前述の意見もさることながら、この所の人気低迷を考えるともっとゲーム的になっても良いかも?これはゴルフの精神、伝統など根底にかかわる問題かもしれないが、そろそろ考える時期が来ているかもしれない。他のスポーツではバレーボール、柔道など多くの競技のルールが大きく変わっている。テレビなど観客側の立場で変わっていることが多いが、スポーツがよりビジネス化された昨今、早急に対応をしなければいけない課題かもしれないと思う。

2019年08月01日

コラムフォト

取材担当プロフィール

山之内 博章 やまのうち はくしょう (はっちゃんと呼ばれています。)
1967年2月24日名古屋市生まれO型の魚座です
ゴルフフォトグラファーをやってますが、他に人物や商品も撮ります。
特技?なんだろ?カラオケは大好き。