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コラム カメラマンが行く!プロゴルフトーナメント

ゴルフ5レディスプロゴルフトーナメント 2023

ゴルフ5レディスプロゴルフトーナメント 2023

洋芝は暑さに弱い。猛暑の影響で芝が枯れ地肌が露出するフェアウェイ。

洋芝は暑さに弱い。猛暑の影響で芝が枯れ地肌が露出するフェアウェイ。

 久方ぶりの北海道行きだった。9月初旬ゴルフ5レディースに行ってきた。今年の会場は北海道美唄市に位置するゴルフ5カントリー美唄コース。海沿いではないがリンクスを彷彿とさせるフラットでコンパクトコースだ。今年の夏は全国各地記録的な猛暑に見舞われた。北海道でも北見市で37度を記録するなど38日連続真夏日を記録。洋芝を採用する北海道のゴルフ場は大打撃を受けた。ここゴルフ5美唄コースも影響を受け、あちらこちらでフェアウェイの芝が枯れるなど地肌が露出。そこに大雨が降ると枯れて溶けた芝でぬかるみができる。カジュアルウォーターとなり自然と救済も多くなる。ゴルフにも気候変動の影響が徐々に出始めていることを実感した。

勝利を決め晴れやかな櫻井心那。

勝利を決め晴れやかな櫻井心那。

 そんな中でも試合は行なわれる。予選1日目朝から雨がちらつき10時過ぎには本降りに…。
鈴木愛が6アンダーで単独首位に。2日目は晴れるが午後ゲリラ的な豪雨へ…。一時試合が中断した中でも鈴木愛が通算8アンダーで首位をキープ。1打差2位に櫻井心那、3位に小祝さくらが続き最終日へ。この3名、2日目、最終日と同組。29歳とはいえもはやベテランの鈴木、25歳の小祝、19歳の櫻井。まさに3世代が激突を演じワクワクする展開だった。最終日、首位発進の鈴木は1番バーディー発進。10アンダーまで伸ばすが後半ボギーが続き苦戦し、小祝は9番ダボも後半持ち直し3バーディー16番で首位タイに。櫻井は5番で単独首位に立つも9番のボギー。その後12番バーディーで再び首位に。この日猛チャージを見せた山下美夢有が17、18番と連続バーディーで首位タイフィニッシュ。この時点で小祝、櫻井、山下と首位タイ3名。プレーオフの予感がしたが最終18番で櫻井がバーディーを決め通算10アンダーで勝利を手にした。今期3勝目10代での3勝は史上3人目だ。

今期3勝目の櫻井心那が、優勝カップを手にガッツポーズ。

今期3勝目の櫻井心那が、優勝カップを手にガッツポーズ。

 2番パー5では果敢に2オン挑みに成功。バーディーで鈴木に1打差と迫る。5番パー5でも2打目をグリーンエッジまで飛ばしバーディー。このホール鈴木のボギーで単独首位に。最終18番「プレーオフは避けたかったと」いうバーディー狙いの2打目を2メートルにつけ「この日初めて番緊張した」というバーディーパットを沈めガッツポーズ。鈴木、小祝を相手に動じることなく自分のゴルフを飄々と貫いた19歳に女神が微笑んだ。「若さ」ゆえ失うものは何も無い。攻めのゴルフに徹することができるのも「若さ」ゆえ。世代交代の激しい女子ツアーの中で更に新しい世代の躍進を感じさせた。

三菱美唄炭鉱跡に現存する竪抗巻揚櫓(奥に見えるのは開閉所)供に近代産業遺産に指定されている。170mの地底まで鉱員を運び原炭を地上に運んだ。

三菱美唄炭鉱跡に現存する竪抗巻揚櫓(奥に見えるのは開閉所)供に近代産業遺産に指定されている。170mの地底まで鉱員を運び原炭を地上に運んだ。

 会場には練習日の火曜日に入って打ち合わせ。観光を楽しむ余裕はまったく無いが、少し早く着いたので「炭鉱メモリアル森林公園」に行ってきた。炭鉱の記憶を後世に伝えるために整備された公園だ。美唄市は札幌と旭川の中間に位置し大正から昭和にかけて炭鉱で栄え、昭和初期の最盛期は年間180万トンを出炭したが、エネルギー政策の転換により石炭から石油へ…、昭和47年閉山した。炭鉱一帯は最盛期には3万人が暮らしていた。美唄鉄道も通り、立派な駅(常盤台駅)もあったが、閉山とともに人々は仕事を失い町を去っていった。今現存するのは竪抗巻揚櫓と原炭ポケット、開閉所のみで当時の繁栄をうかがえる物は存在しない。昔ここに3万人の街があった痕跡など何も無く、ただ荒涼とした草原に2機の巻揚櫓がたたずんでいるだけ。今まさに炭鉱を閉山に追い込んだエネルギーの変革が始っている。今進む脱炭素社会への転換、化石燃料から再生可能エネルギーへの過渡期に突入しているのだ。この先50年後、荒涼とした大地に佇む産業遺産「石油掘削リグ」が世界のあちこちで見られるのかもしれない。栄枯盛衰は世の常だが、前年までのコロナ禍の自分とフラッシュバックし、この不条理に見舞われた美唄の労働者達に思いを馳せた。

「福よし」の美唄焼き鳥、真中にキンカン「産卵前の卵の黄身」が入っている。

「福よし」の美唄焼き鳥、真中にキンカン「産卵前の卵の黄身」が入っている。

 美唄グルメをあらかじめ下調べしたところ「美唄焼鳥」と「とり飯」が名物らしい。何でも「美唄焼鳥」は日本七大焼き鳥のひとつとか。モモ肉だけではなくレバー、砂肝、ハツなどの内蔵系に皮、キンカン、玉ねぎなどを一本の串に刺して焼く郷土料理だ。1953年「三船」という屋台で誕生したと言われる。それまで焼鳥店で廃棄していた内蔵をもったいないと思い「モツ串」にして売り出したのが始まりとか。おお…70年前から「SDGs」の考えが…。というか「頂いた命は無駄なく頂く」。そのモツ串が過酷な炭鉱労働者のスタミナ源として人気を博し、広まったのが美唄焼き鳥だ。

美唄焼き鳥の老舗「福よし」がギャラリープラザに出店。

美唄焼き鳥の老舗「福よし」がギャラリープラザに出店。

 出発前から目星を付けておいたお店が、一週間前に火事で消失してしまったのと。バタバタでそんな余裕は無かったので諦めていたが…、なんと!会場のギャラリープラザに「美唄焼き鳥」発見!「三船」を受け継ぐお店「福よし」が出店していた。早速、ワンコインを手に仕事の合間に食べてみた。1本150円税込。安っ!この手の出店ではコスパ抜群。お味は「美味っ」内蔵系の苦手な私でもパクパクいけそうだ。昨今の値上げラッシュの中、お財布にもお腹にも優しい焼き鳥だった。

 もう一つの名物「とり飯」。これは会場であるゴルフ5カントリー美唄コースのすぐ脇にある「しらかば茶屋」に行ってみた。「峠の茶屋」っぽい佇まいだがお昼は常に満席。待つこと20分「ラーメンとり飯セット」を注文。とり飯は少し甘めであっさりとしているが出汁の旨みが効いてGood!。ラーメンは鶏ガラしょうゆのシンプルな味付け。どちらも美味しく頂きました。

 現地からの帰りは日曜日終了後、20時30分のフライトだったが、新千歳までけっこう時間がかかったのと、レンタカーの送迎で待たされたので空港到着はギリギリ40分前。食事やお土産を買う時間も無ったので、炭鉱と美唄焼き鳥、とり飯はせめてもの救いだった。

執筆:2023年10月9日

2023年10月20日

コラムフォト

取材担当プロフィール

山之内 博章 やまのうち はくしょう (はっちゃんと呼ばれています。)
1967年2月24日名古屋市生まれO型の魚座です
ゴルフフォトグラファーをやってますが、他に人物や商品も撮ります。
特技?なんだろ?カラオケは大好き。