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コラム 熱湯コラム「いで湯のあしあと」

冬の味覚とレトロ風呂 山代温泉

冬の味覚とレトロ風呂 山代温泉

 前々からずっと行きたいと思いながら毎年あっという間に時期を逃していたツアーがある。冬の味覚、蟹を満喫する温泉ツアーだ。全くベタすぎるこのツアーに、私はかつてまだ一度も行った事がない。ツアーといってもただ現地までJRかバスで自分で勝手に行って、蟹コースをやってる旅館で蟹をたらふく食べ、温泉につかって帰ってくるものだ。時間と予算と休みの関係で、一泊したいところだったが日帰りツアーで突然催行決定となった。
 蟹の知識は全くない私だが、加賀温泉郷をJR特急サンダーバードで目指す。今回目指すは、山代温泉。出発駅で鳴る単調で哀しげなメロディが、いよいよ日本海に繰り出す気分を盛り上げてくれる。2時間ほどで加賀温泉駅に到着すると、ポスターでも宣伝している「Lady Kaga」なる温泉旅館の女将達が出迎えてくれる・・・と思いきや、出迎えてくれたのは旅館の旗を持った係りのおじさんだった。

 シャトルバスで約10分、今回食事をさせていただく「雄山閣」に到着。ロビーに入ると、豪華絢爛なシャンデリアと金色に輝く鳳凰が出迎えてくれる。こういうバブルな大型旅館は久々だと思いながら、食事までまだ時間があるので、とりあえずはまず宿の大浴場へと足を運んだ。

 大浴場に向かうと何と!「ギリシャ神殿大浴場」と書いてある。そして、期待を裏切らない大理石の床、ビーナス?の彫刻。山代温泉に蟹を食べに来たことを忘れるような大浴場で、貸切状態で泳がせてもらった。

 ギリシャ温泉から出ると、いい具合に小腹もすいてきた。広々とした和室(個室)に通され、蟹フルコースがスタート。蟹みそ甲羅焼き、茹で蟹(一杯)、焼き蟹、蟹刺し、蟹すき、蟹天ぷら、蟹甲羅詰め(卵入り)、そして蟹雑炊。無言になってこれでもかっというくらい蟹を食す。黙々と茹で蟹と焼き蟹の足を全部取り出して、御飯の上にごっそり乗っけて、蟹みそも蟹卵も乗っけて、ぐちゃぐちゃに混ぜた贅沢なセルフ蟹丼スペシャルを作る。言うまでもなくめっちゃ美味しい。

 たらふく蟹を満喫したら、せっかくなのでギリシャ神殿だけじゃなくてホンモノの山代温泉にも浸かりたくなった。山代温泉といえば中心地にある「総湯」と「古総湯」。新しくなったレトロモダンな「古総湯」に入ることにした。

 古総湯は、明治時代の総湯を再現したもの。温泉街のど真ん中にどっしりとした存在感で佇む古総湯は、道後温泉の本館を彷彿させる。復元した建物のため、道後温泉よりはかなり新しいが、入湯料を払って中に案内されると、扉を開けたらすぐにそこは浴場。脱衣所は浴場の中にあり、入浴スタイルは当時のまま全て再現されている。薄暗い大浴場で、カラフルなステンドグラスから入る淡い光を見つめながら温泉につかると、明治時代にタイムスリップしたかのような感覚にとらわれるのだ。

 源泉は63℃の高温泉でちょっと熱め。長く浸かっているとあっという間に湯だってくる。透明でつややかな肌触りがとても心地よい。開湯1300年の歴史があるだけに、その泉質は疑うものがない。

 夕方の特急で真っ黒い日本海を横目に帰路につく。様々な蟹の種類と様々な温泉。今回は山代のみを弾丸で味わうツアーだったが、冬の北陸はまだまだ探索の余地がある。往復4時間程度なら、冬の間に複数箇所楽しむことも可能だ・・・時間とお金の許す限り。

【山代温泉 古総湯】
住所: 石川県加賀市山代温泉18-128
アクセス: 京都より特急サンダーバードにて約2時間
泉質: 弱アルカリ性低張性高温泉(単純温泉)
源泉名: 山代温泉(第一号源泉)
温度・PH値: 62.3℃、PH値7.8
色・味・匂: 無色透明・無味無臭
効能: 神経痛、筋肉痛、関節痛、五十肩、運動麻痺、間接のこわばり、うちみ、くじき、慢性消化器病、痔疾、冷え性、病後回復期、疲労回復、健康増進
料金: \500

2015年12月15日

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取材担当プロフィール

みなもといずみ
近場から遠出まで、行く先々に温泉マークを見つければすぐに飛び込んでしまうほどの温泉女。出張先ですら、温泉があればタオルとパンツを持ってでかけます。女である以上、温泉に癒される人生は永遠です。行き当たりばったりの旅が大好きな私のあこがれは、スナフキン。点々と旅を続けながらいで湯を求め、足あとを残していきたい!

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