【スロヴァキア】疫病と修道院
2023年1月16日
かつて旧市街を守る門のひとつだったミハエル門をちょうど出たあたりに、印象的な教会があります。
トラムが行き交う道路沿いに唐突に建つこの聖シュテファン教会はカプチン派の修道院で、17世紀にさかのぼります。
そのころのブラチスラヴァはポジョニと呼ばれ、ハンガリー王国の首都だったのですが、黒死病と怖れられるペストが流行り、多くの犠牲者が出たため、弔いのために修道士が集まったのが修道院のできるきっかけでした。
カプチン派はアッシジの聖フランチェスコの流れを汲むのもあってか、決して華美な建物ではなく、気づかずに通り過ぎてしまうかもしれませんが、立ち止まってよく見ると凛とした佇まいがあり、惹きつけられます。
コロナ禍はペストのようにこの先、歴史に刻まれていくことになるでしょうが、当初の状況を思い起こすとただ祈るしかなかった時代の様相が想像できます。
- 増田 幸弘
1963年東京生まれ
スロヴァキアの都・ブラチスラヴァ在住のフリー記者。
ヨーロッパ各地を取材しながら、日本でも取材。新聞・雑誌に特集記事や連載記事を執筆している。
「プラハのシュタイナー学校」(白水社)や「プラハ カフカの生きた街」(パルコ出版)などの著作がある。
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華美ではないが、凛とした佇まいでそこにいる事…それこそが、人を不安から穏やかにするのですね。
祈る気持ちは、安心を呼ぶ。
ブラチスラヴァのキリスト教の派閥も絡み、建築様式に関連する。
時代は、いつの日も病気とたたかって街の様子も色々関連づいて変わってるんですね。
歴史あり街が変わる。
なんだか奥深いです
杏 | 2023年1月16日 14:56
コロナ禍も初期は本当に祈るしかないような状況がつづきました。早く収束するといいですね。
増田 幸弘から杏への返信 | 2023年1月16日 15:39