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コラム 熱湯コラム「いで湯のあしあと」

九州一の美肌の湯 嬉野温泉

九州一の美肌の湯 嬉野温泉

 6、7年ほど前に九州を訪れた際、福岡から別府を縦断する途中どこかのサービスエリアに立ち寄ったときに、パンフレットで目にしたのが嬉野温泉だった。それから九州に行く度になんだかずっと気になっていたのだが、佐賀県にまず足を踏み入れる用事がないため、機会を逸していたのだ。だから、今回はわざわざ「嬉野温泉に行く」という用事を作ってやっと訪れることができた。

 福岡からレンタカーで1時間半。長崎街道の宿場町として江戸時代に最盛期を迎えていたという嬉野温泉だが、なんとその始まりは8世紀初旬のようである。インターを降りて、嬉野名物ののどかな茶畑を通り過ぎると、鄙びた感のあるひっそりとした温泉街が現れる。今回はその温泉街の中心ではなく、そこから更に車で5分山を登ったところにある椎葉山荘に宿泊することになっていた。

 この旅館は、椎葉山のふもとと渓流の流れる静かな山間に建っている。チェックインをフロントで済ませると、部屋までオープンエアのアプローチを通って案内され、大自然を肌で感じることができる。周りは虫や鳥の鳴き声と、川の清流の音しか聞こえない。モダンな和洋室でくつろぐ間もなくすぐに、露天風呂へ繰り出した。

 この旅館最大の売りである露天風呂「しいばの湯」に浸かる。渓流沿いにある広い露天風呂は、人もまばらで貸し切り状態だった。自分の浸かるちゃぽんという音と、渓流のせせらぎ以外何も聞こえない。静かな山間の秘湯でお湯に浸かる贅沢な時間だ。

 思った通り、ここの湯質はかなりよかった。すごくぬめりがあり、肌のしっとり感がずっと続く。ナトリウムを多く含む重曹泉と呼ばれ、分泌物や皮脂を乳化して浄化してくれるらしい。さすが日本三大美肌の湯とうたわれるだけに、湯上がり後は一皮むけたゆで卵肌である。

 湯上がりは吹き抜けのあるダイニングルームで、地場の食材を使ったお料理をいただく。熊本の旅館に行った際もそうだったのだが、先付けやお造り、煮物、温泉で作った湯豆腐等は大皿で提供され、好きなものを好きなだけ小皿にとっていただくスタイル。これだけでもかなりのボリュームなのだが、メインの佐賀牛しゃぶしゃぶのとろけそうな美味しさには言葉が出なかった・・・。佐賀に行く機会もないから佐賀牛だって初めて口にしたのだが、今まで食べたブランド牛の中でもピカイチかもしれない。

 翌朝、朝食を済ませた後チェックアウトの時間までたっぷりと、しいばの湯にこれでもかというくらい浸かった。一皮剥けるどころではない。全身もしかしたら天然ケミカルピーリングをして、生まれたての赤ちゃんのような肌質になってしまっていたかもしれない・・・というくらい素晴らしいクオリティのお湯だった。嬉野温泉がずっと気になっていたという私の直感は当たった。おかげで、美肌の湯 自分ランキングの順位がこの旅行で変わったのは、言うまでもない。

【嬉野温泉 椎葉山荘】
住所: 佐賀県嬉野市嬉野町岩屋川内字椎葉
電話: 0954-42-3600
アクセス
 長崎自動車道 嬉野ICより約10分
泉温(源泉): 48.8度(PH値:7.24)
泉質名: 重曹泉(ナトリウム-炭酸水素塩・塩化物泉)
色・味・匂: 無色透明・無味無臭
効能: 神経痛、筋肉痛、関節痛、五十肩、運動麻痺、関節のこわばり、うちみ、くじき、慢性消化器病、痔疾、冷え性、病後回復期、疲労回復、健康増進
料金: 19,000円~(一泊二食/2名一室)

2015年02月17日

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取材担当プロフィール

みなもといずみ
近場から遠出まで、行く先々に温泉マークを見つければすぐに飛び込んでしまうほどの温泉女。出張先ですら、温泉があればタオルとパンツを持ってでかけます。女である以上、温泉に癒される人生は永遠です。行き当たりばったりの旅が大好きな私のあこがれは、スナフキン。点々と旅を続けながらいで湯を求め、足あとを残していきたい!