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コラム 熱湯コラム「いで湯のあしあと」

出雲の層雲峡 立久恵峡温泉

出雲の層雲峡 立久恵峡温泉

 はるばる遠方まで来てしまった。
 名古屋より約600km。近畿地方を過ぎ、ひたすら中国道を西へ走って来たこの地は、神々の国・出雲。今年は伊勢神宮に並び、60年毎に行われる『平成の大遷宮』の年である。出雲参りのついでに、数多くある島根県の温泉地より敢えて探し当てた秘湯は、出雲の層雲峡と呼ばれる立久恵峡(たちくえきょう)温泉だった。

 渓谷にある宿・御所覧場(ごしょらんば)は、出雲大社より車で約30分ほどのところにある。「絶景の宿」という文句に惹かれて予約。かつては、松江藩主の別荘跡地だったというこの旅館は、全室絶景ビューという贅沢さ。到着後、チェックイン時に好きな浴衣と帯をノーチャージで選べる。女性にはとても嬉しい無料サービスである。12畳ほどの小奇麗な和室に通されると、大きな窓ガラスの向こうでは、杭が打ちつけられたようにそびえ立つ大岩と、きらきらと夕日に煌く翡翠色の渓流が目の前に広がっていた。まさに目を見張る絶景である。客室からの大岩ビューにテンションがあがったところで、この景色をもっと至近距離で眺められるという露天風呂に足を運んだ。

 階下に下り外に出て、渓流沿いの階段を下って露天風呂へ。男女別の露天と、貸切の家族風呂が2箇所。露天風呂に入ると、先客は1,2人。満室の週末であるのに、ほぼ貸切状態でお風呂と絶景を独り占めすることができた。泉質は、もともと温度の低い冷鉱泉を加温しており、無色透明のさらっとしたお湯である。特にリウマチや女性器系疾患に効くらしく、入った後までぽかぽかが持続する。お風呂に浸かりながら無になろうと思ったが、頭の中でキンキンに冷えたビールジョッキがちらついて仕方なかった。

 お風呂上りに早速ビールを飲み干した後、一階の食堂で夕食が始まった。決して豪華とはいえない雰囲気の食堂で、とっても豪華な地産地消料理をいただく。地元で取れた肉厚きのこと山菜。そして地元のパートであろうおばちゃんのサービス。メインディッシュは、地元で捕れた、さばきたての天然うなぎがどーんとのった、超贅沢な天然うな重である。絶滅危惧種と言われるうなぎの価格が高騰するこのご時世、なかなか味わえないシロモノだ。

 夜も更けて、再度露天に浸かりに行った。
 今度こそ誰もおらず、静寂の中一人で入浴した。お湯を流す音以外は何も聞こえない。霧と湯煙の立ちこめる中でライトアップされ佇む立久恵峡は、とても厳かで、かつては本当に神々が往来していたのではないかと思わせるほどの不思議な錯覚に陥った。

 この不思議な感覚は、翌朝、朝もやの中で入浴したときも同様だった。深緑の木々の間より差し込む強い光が反射する湯面を見ていると、全てが清らかで透き通ったものに見えてくる。これはたぶん、この土地の持つ「気」が本当にいいからではないだろうか。そんなことを思いながらカメラのファインダー越しにいろんなものを見てみると、川辺の水面、深緑の森、そびえ立つ大岩、小路の咲く花々、朝食の新鮮なサラダ、出雲大社参拝に来ている人々、全ての物からぼわんとしたかすみがかった白いエネルギーが出ているのを感じた。

 チェックアウトをして約30分ほど走り、出雲大社を参拝する。昼食に参道沿いのお店で冷たい蕎麦を食べ、神々の集まる地のエネルギーを身体いっぱい吸収した後、また長旅の高速道路に乗って岐路についた。うちに着いたときにはもうすでにこの地の持つエネルギーなんてものは錯覚だったのではないかと思われるくらい現実に戻っていた・・・あの感覚は一体なんだったのだろう。

【立久恵峡温泉 御所覧場】
住所: 島根県出雲市乙立町立久恵5269
電話: 0853-45-0211
アクセス
 車の場合: 名神高速 → 中国自動車道 → 米子自動車道 → 山陰自動車道出雲ICから国道9号線約5km約10分 → 国道184号線約8km約10分
 公共交通機関: 出雲市駅より須佐行きバスに乗車25分。「展望台入口」下車すぐ
泉温(源泉): 36度
泉質名: 含砒素石膏食塩泉
色・味・匂: 無色透明・無味無臭
効能(入浴): リウマチ性疾患、通風・尿酸素質、動脈硬化症、高血圧症、運動器障害、慢性湿疹・角化症、虚弱児童、卵巣機能不全症、女性性器慢性炎症、子宮発育不全・月経障害、更年期障害
料金: 9,000~20,000円(一泊二食)

2013年07月23日

コラムフォト

取材担当プロフィール

みなもといずみ
近場から遠出まで、行く先々に温泉マークを見つければすぐに飛び込んでしまうほどの温泉女。出張先ですら、温泉があればタオルとパンツを持ってでかけます。女である以上、温泉に癒される人生は永遠です。行き当たりばったりの旅が大好きな私のあこがれは、スナフキン。点々と旅を続けながらいで湯を求め、足あとを残していきたい!

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